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ゲインオーバー

MUGA, I am. 映画のことや英国のこと、加えてゲームやテクノロジーも。気になることを気侭に記していくブログです。

人生は素晴らしい!楽曲も素晴らしい!珠玉のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド / La La Land』

映画 感想


2/8に二回目の鑑賞を経て加筆修正しています。

ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン主演のミュージカル映画『ララランド』観てきました。米国では既に公開されているのですが、英国では本日、日本では2月24日の公開です。

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1/14時点でIMDb評価8.8/10、Rotten Tomatoes評価93%。さらに、ゴールデングローブ賞7部門受賞、英国アカデミー賞でも年間ベストに選ばれる等高評価が止まりません。

監督は『セッション』のデイミアン・チャゼル。『セッション』はジャズドラムでしたが、今作はライアン・ゴズリングがジャズピアニストとして登場。監督、ジャズ好きなんでしょうか。

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この映画を観る際は必ず冒頭から観ることをオススメします。最初から素晴らしいので遅刻しそうになったら諦めて他の回にしたほうが良いです。作品に引き込んでくれる重要なシーンなので本当に。

というわけで、以下あらすじ・感想をネタバレ無し、有りの順で書いています。ネタバレが嫌な方は途中まで、ネタバレOKな人は最後まで読んでみてください。

このブログのネタバレの基準はコチラ

冒頭のあらすじ(ネタバレ無し)

カフェでバイトをしている女優の卵ミア(エマ・ストーン)は渋滞に巻き込まれていた。車が進まないのでオーディションの台本を読んでいると後ろからけたたましいクラクションの音を鳴らされる。クラクションのを鳴らしたのは、ミアの後ろにつけていたセバスチャン(ライアン・ゴズリング)だった。台本読みに夢中なあまり、ミアは周りの車が進んでいることに気が付いていなかったのだ。

ミアがオーディションで残念な結果となる一方、ジャズピアニストであるセバスチャンはクリスマスのレストランへの演奏へと出かける。ジャズは禁止、クリスマスソングのみを演奏するように言われ渋々クリスマスを弾いていたが、途中でジャズを弾き出す。そのレストランの前を通りがかったミアは音色に惹かれてレストランへと足を踏み入れ、セバスチャンの姿を見る。その直後、セバスチャンはレストランのオーナーからクビだと言われそれに憤った彼は、声をかけようとするミアを無視して店を後にする。

それからしばらくしてミアがパーティに行くと、そこに居た80年代コピーのバンドのキーボードがセバスチャンであることに気がつく。久々に再会した二人は少しだけ会話をした。パーティも終わりに近づく頃、ミアは男に絡まれて困っていた。そこにセバスチャンが通りがかり、ミアはセバスチャンの協力を得て何とか男から逃れてパーティを抜けた。そして、二人は良い雰囲気の中、車を見つけるためにしばらく一緒に歩いた。ここから、二人の物語が始まる。

ネタバレ無しの感想

予めことわっておくと、ライアン・ゴズリングもエマ・ストーンもどちらも大好きな俳優なので、この二人が歌って踊るだけで私にとっては魅力的な映画なので評価が甘いかもしれません。でもそれを割り引いても最高だったと思っています。

突然ですが生まれ変わったらエマ・ストーンになりたいと前々から思っているんですけど、なりたい欲が今作で更に盛り上がりました。可愛いのはもちろん、悲しみや切なさを見せる演技が良かったです。今作のエマはこれまでの彼女の映画の中でも最高でした。『アメイジング・スパイダーマン2』『小悪魔はなぜモテる?!』のエマも可愛いんですけど、今作の踊るエマはさらに可愛かったですね。劇中ではドレスを着る回数が多いのですが、どのドレスも色も形も様々で全部可愛いです。

それから歌が一部聞き取れなかったり、意味が分からない箇所も正直なところありました。なので、多少理解が足りない部分があるかもしれません。通常のミュージカルでもそうなのですが、このあたりはリスニング能力の無さが露呈してしまいました。

前置きが長くなりましたが感想。まず最初のオープニングナンバーが素晴らしくていきなり引き込まれます。渋滞のところで謳って踊るシーンなのですが、目を見張るものがあります。こちらの劇場ではオープニングナンバーが終わった後に拍手が起こってました。映画じゃない実際のミュージカルなら大きく拍手するところなので、気持ちはとても良く分かります。

このオープニングナンバーに限らず、派手なミュージカルシーンやセバスチャンとミアのタップダンス、次々にシーンが変わるダンス等、歌唱・ダンスパートはどれも素敵で、記憶に残るものが誰にでもあると思います。私自身は「Epilogue」が流れるところに感動しました。それから、ミアが友達と歌う「Someone in the Crowd」も好きでした。

映画のサウンドトラックはSpotifyにあるので、会員の方は映画視聴前に聴いてみてもいいかもしれません。私は家に帰ってからずっと流して、映画を反芻しながらグッときてます。YouTubeにも上がってなくはないです。

ストーリーの詳細は控えた上での感想ですが、私は映画賛歌と人間賛歌を感じました。

まず映画賛歌。ミアが女優の卵、舞台がハリウッド近辺なことなどなど端々に昔のハリウッド懐古を感じるところがあるんですよね。ミアの部屋にはイングリッド・バーグマンのポスターも貼ってあるし。映画冒頭で配給会社のSUMMITのロゴが白黒と昔のアスペクト比で映るところ、さらにアス比が変わるところもそうですし、オープニングナンバーのシーンも昔のミュージカル映画がやりたいことを今の技術を目一杯使って行った空気があります。途中に出てくる映画館のシーンでもフィルムが焼き切れる場面があって、とても意識かつ尊敬していると感じました。『アーティスト』もハリウッド懐古の作品ですが、少し通ずるものがありました。

そして人間賛歌。ミュージカル映画全てがそうだとは言いませんし例外もいくらでもありますが、歌って踊るのは良いこと・素晴らしいことを表現する時が多く、特に歌で表現される人の気持ちにフォーカスすると人間賛歌が根底にあることが多いと考えています。もちろん悲しみも表現できますけど、テーマが悲しいんだった歌も踊りもない方が映画としては表現しやすいはずなので。本作は二人の恋模様以上にそれぞれの人生や夢が描かれる部分があって、その素晴らしさを強く感じたんですよね。クライマックスはかなりグッときました。ただ単純にグッときたわけではないのですが、詳しくはこの先のネタバレ有り部分で。

『雨に唄えば』『シェルブールの雨傘』等の歴代の名作ミュージカル映画にも負けない作品だと感じました(映画好きには怒られそうですが)。ミュージカル映画を好きな人もそうでない人も楽しめる傑作だと思います。好きじゃない人が見たらミュージカル映画に対する印象が少し変わるんじゃないかと。文句なしにオススメです。

では、ここから先はネタバレ有りです。

結末までのあらすじ(ネタバレ有り)

セバスチャンはミアが働くカフェに現れ、ミアを誘ってジャズ・バーに。そこでジャズへの情熱と将来的にジャズ・バーを開く夢を語った。そこでミアが次のオーディションに臨むことを聞いたセバスチャンは映画デートの約束を取り付ける。しかし、ミアはそのデートの日にセバスチャン以前に気になっていた男とのダブルデートを予定していたことをすっかり忘れていて、家まで迎えにやってきたその男とダブルデートへ。セバスチャンはミアが現れないので一人で映画館に入り座席についた。

ミアはダブルデートを途中で抜けて映画館に到着するとセバスチャンの隣の席に着席。二人が映画を観ながら良い雰囲気になったところで、フィルムが燃えたため上映中止になって劇場内も明るくなってしまい、二人の雰囲気もぶち壊しになった。ミアのアイディアでその映画に到着する天文台に行った二人の距離はさらに近づく。

オーディンに中々合格できないミアは一人芝居をやることを決意し、セバスチャンはジャズ・バーで演奏している時に古い友人のキースに出会ったのをきっかけにジャズバンドのキーボディストになる。そのジャズバンドはポップミュージックの要素を取り入れたバンドで、セバスチャンは本来自分がやりたい音楽ではないと葛藤するがバンドが次第に売れるとそう考えることも少なくなっていった。セバスチャンがバンドのツアーで多忙な日々を送り始めると二人にすれ違いが生じ始め、ミアはセバスチャンが本来やりたい音楽をできていないと指摘したことに端を発し、二人は喧嘩。セバスチャンの一言をきっかけに、ミアは部屋を飛び出す。

それから二人は距離を置いていたが、ミアの一人芝居の日がやってくる。ミアは一生懸命準備をし告知もしたが観客はルームメイトと数人のみ。セバスチャンも行く予定だったが、バンドのスチール撮影があったことを忘れていたため、劇場に到着したのは終劇後だった。セバスチャンは到着すると、ちょうど会場から出てくるミアに出くわす。謝るセバスチャンに対して、ミアは怒りと悲しみをぶつけてまともに話すこともなく車で去ってしまう。ミアはその数人の観客が自分の演技を批判しているのを聞いてショックを受けていたのだった。

ミアをこれをきっかけに田舎(Boulder City。カリフォルニア州の隣ネバダ州にある街)に帰る。しばらくしてセバスチャンの元にミアの一人芝居を観ていたというキャスティング・ディレクターからミアをオーディションに呼ぶ電話があった。セバスチャンはミアの実家を訪ね、ミアにオーディションを受けるように説得する。これに応じたミアはオーディションを受けた。二人はかつてデートした天文台の前で、オーディションの合格を祈るとともに、それぞれの夢に向かって努力することを話した。二人のよりが戻ることはなかった。

それから5年後の冬。ミアはトップ女優になり、かつてバイトをしていたカフェで注文をする側になっていた。そしてミアはセバスチャンではない男性と結婚し、子供ももうけていた。セバスチャンはついに自分のジャズ・バーをオープンを構えることができた。ミアが旦那とレストランに行った帰りにバーに立ち寄ると、そこにはミアが5年前にデザインした「Seb's」のロゴが掲げてあった。ジャズバンドの紹介を終えたセバスチャンはミアに気がつくと、ピアノの前に座り演奏を始めた。それは5年前にクリスマスのレストランで奏でた、ミアが惹かれたあの曲だった。

曲が始まるとスクリーンにはクリスマスのレストランで二人が出会って二人で幸せな人生を歩む世界が映し出される。クリスマスのレストランでセバスチャンがミアを無視せず、キスして周りの皆にも祝福されてからミアの一人芝居にも多くの観客がやってきて、オーディションにも合格してパリにも行って、全てがバラ色。二人は結ばれ、子供も授かり、幸せな家庭を築き、今晩ミアはセバスチャンに手を引かれてジャズ・バーにやってきた。

しかし曲が終わると現実に戻り、そこに居るのは演奏し終えたセバスチャンと旦那の隣に座るミアだった。旦那にまだ聴くか質問されたミアはもう帰ると言って席を後にする。ミアは店を出る時にセバスチャンに視線を向ける。セバスチャンはそれに応えて微笑み、ミアもまた微笑むのだった。

ネタバレ有りの感想

ネタバレ無しの感想にも書きましたが、映画賛歌と人間賛歌が本作の2大テーマで、特に人間賛歌の部分が良いなあと思いました。

率直なところ、ストーリーは平凡なんですが、でも平凡なのが最高でした。ミュージカル映画なので歌って踊って大団円ハッピーエンドに持っていくのもアリだし許されると思うんです。最後のセバスチャンの演奏にミアが呼応して旦那捨てるみたいな展開にしても、歌って踊れば愛が全てみたいなノリで済む部分もあったはずなんです。そうすると、映画作品として評価低くなりそうですが。

でも、物語のオチには奇跡を与えずドラマの部分できちんと現実を見せてきました。それを憎いなと思うと同時に、奇跡が起きない人生の素晴らしさも語っているなと思えましたね。二人の恋愛は実らなかったけれど、それぞれが自分の夢を叶えて前を見て生きているだけでハッピーエンドですし、奇跡なんて起きなくても十分素晴らしいと言っているかのようで。

最後の妄想の主が誰なのかは明示されないので、どちらでもなく観客の視点なのかもしれませんが、ifの世界がどうにもミアからの幸せに思えるので彼女視点なのかもしれません。あるいは二人の視点なのかな。そのあたり解釈に余地は残りますがそこは気にしなくても、名シーンです。

今まで登場した曲の総集編「Epilogue」に乗せて二人の幸せな世界が描かれるこのシーンは、グッとくるものがありました。始まった瞬間にこれは幻想でifの世界だと分かるんですけど、分かるがゆえに実現しなかった、叶わなかった幸せな世界を見せつけられると感動よりも辛さが押し寄せるんですよね。でも、最後の二人の笑顔で「全てが上手くいかなかったとしても、これで良かったんだ。幸せがあるんだ」と思えて、辛さは消えました。ここのカタルシス最高でした。このまま「The End」の文字が映し出されて、映画っていいなって染み入りました。

近頃、考えさせられる映画の方が好きでしたが、このようにストレートに人生は素晴らしいと語ってくる映画も素晴らしいですね。いやあ良かった!

2回目も引き込まれてあっという間に時間が過ぎました。ストーリーが分かっていても楽曲が楽しめるのはまずミュージカル映画の良いところですね。2回目はどうも周りの人もリピート客だったようで足でリズム刻むながら観てましたよ。映画館の大音量で観る意味のある映画ですし、きっとあなたもリピートしたくなるはずです。

2/26はアカデミー賞。作品賞受賞に期待大です。