映画の感想を書く際のネタバレの境界線を考える
このブログでも散々、日本未公開映画のネタバレを書いていますが、そのような記事にはネタバレの表記をきちんとしています。ネタバレをせずに感想を書きたい時もあるんですけど、どうしてもどこかしらでネタバレする気がして、ネタバレ無しとは言えなかったんですよね。
そこで、今日は映画のネタバレの境界線をどうするべきかについて考えてみた上で、このブログのネタバレ方針を定めました。結論としては、
- どんでん返しのある映画のどんでん返し部分は何があってもネタバレ
- ストーリーが重要でない映画の場合、予告編に出てくる映像はネタバレとしない
- 映画途中に重要なネタバレがある場合は、それを「とある事件」と呼んでその後の話でも核心には触れないようにする
- 古い作品でも、映画に興味のない知人は知らないだろう作品のオチや核心はネタバレになるので気をつける
- ネタバレする前にネタバレと書く
以下、この結論に至るまでの文章です。ネタバレを考える中で次の作品のネタバレを例に出していますので、未見の人は注意してください。
- 『スター・ウォーズ』シリーズ
- 『HOUSE』(大林宣彦)
- 『猿の惑星』
- 『シックス・センス』
- 『ユージュアル・サスペクツ』
- 『ファイト・クラブ』
- 『君の名は。』
- 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』
- 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
古い作品であればOK?
ネタバレの線引きとしてよくあるのが、公開日や発売日。漫画だとフラゲしてすぐのネタバレは良くないけど、発売日を過ぎればネタバレOKみたいなローカルルールも存在しているようです。映画でも公開直後はネタバレを控えめにして、しばらく経ったら解禁という流れがある気がします。
それでは昔に公開、発表された作品は何を基準にネタバレになるのでしょうか。「ダース・ベイダーの正体はルーク・スカイウォーカーの父であるアナキン・スカイウォーカー」。これは『スター・ウォーズ』シリーズの重要なネタバレです。しかしこれをネタバレと思う人はどれくらい居るのでしょうか。
例えば、スター・ウォーズエピソード5の少し前に大林宣彦が作った『HOUSE』は「少女たちが全員家に食われて死ぬ」というオチがあります。これをネタバレだと思う人は、おそらくもっと多いのではないでしょうか。
この2つの映画の古さはほとんど変わらないのに、知名度に差があることでネタバレ基準が変わっているように思います。そう考えるとネタバレは古さよりも、他の人がそれを知っているかどうかによって決まると言えます。ネタバレは「知らない作品の核心部分をバラす」という意味なので当然と言えば当然なんですけど、古ければOKというのは違うようです。
最後にどんでん返しがある作品はNG?
1968年公開の『猿の惑星』の「不時着した惑星が実は地球だった」、1999年公開『シックス・センス』の「実は自分が死んでいた」など、最後でどんでん返しを用意している作品のネタバレはどうなんでしょうか。
これらのネタバレも超有名だと思いますが、スター・ウォーズとは少し話が違います。ダース・ベイダーの正体はスター・ウォーズ エピソード4〜6の中で重要な要素ではありますが、物語の核心ではありません。主軸はルークが皇帝を倒すという物語なわけで、ダース・ベイダーの件を知っていても楽しめると思います。
しかし、『猿の惑星』と『シックス・センス』はどうでしょうか。『猿の惑星』はまだ他に楽しめる要素があると思うのですが、『シックス・センス』はオチが分かっていると楽しみづらい映画だと思います。他にも『ユージュアル・サスペクツ』や『ファイト・クラブ』はやっぱり情報がない状態で見たほうが楽しめるでしょう。
こういう映画は仮に知名度が高くても、ネタバレによって面白みがなくなってしまうので基本的にネタバレはNGと言えます。オチが分かっていても、どうやってそこに至るのか、伏線がないかを確認しながら観る楽しみもあると思いますが。
一方で、物語の途中で大切な事実が明らかになって、その後も物語が進む場合はどうでしょう。『君の名は。』の「三葉は3年前に死んでいた」、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の「途中でタイムリセット能力がなくなる」は重要なネタバレですが、これをきっかけに物語が面白くなる部分でその後の展開について述べるなら、これはどうしても書かなければならないポイントです。
ですので、これをぼかすために「ある事件をきっかけに」という表現を使わざるを得ないと考えています。シネマハスラーもといムービーウォッチメンでもこの表現が出て来る気がしますが、なるほどネタバレに配慮するとこの言葉になるわけですね。
ストーリーが重要でない映画のネタバレはOK?
一般的に予告編は、映画本編が観たくなるように見栄えの良いシーンを繋いで作っているので、文脈は明かされないものの、終盤のクライマックスシーンが映ることも多いです。例えば『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の予告編は次のとおりでクライマックスシーンもふんだんに使っていて、以下のことが明かされます。
- 主人公スキャマンダーのビーストが逃げ出す
- その結果として(おそらく悪い)魔法使いと戦うことになる
- ニューヨークの街はビーストか何かによって被害を受ける
そして最終的に「スキャマンダーが勝利してニューヨークを救う」のは明らかでしょう。しかし、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は、極端に言えばこれ以上でも以下でもないストーリーの映画で、予告編がストーリーをネタバレしています。これ以上でもこれ以下でもないのは映画を観た後だから言えることで、予告編だけを観た人にはネタバレと映らないのかもしれません。しかし事実としてはストーリーがこの予告編で明かされているわけです。
ここで考えてみたいのは、この映画はストーリーは大したことないけど、そこに登場するキャラクターやファンタジー設定が魅力的な映画である点。ストーリーがバレても、映画体験が著しく損なわれるわけではないんですね。特にこの映画を楽しみに観る層にとっては、ストーリーはあまり重要じゃないと思います。むしろ本筋とはあまり関係ない、コワルスキーがどういう結末を迎えるかの方が、この映画を観ている人にとっては気になるところでしょうし。
例えばアニメの遊戯王、ドカベンも同じで次回予告で完全にネタバレをしますが、重要なのはその結末ではなく、城之内のカードのプレイングであり、明訓高校の不知火攻略なのであります。
ただ、ストーリーが重要かどうかは人によってマチマチですので、ここからここはネタバレと一概には言えません。でも予告編が一つの指標になるのは間違いないでしょう。公式が上映前にここまではOKと公開しているわけですから。
ネタバレはすべてローカルルール?
考えれば考えるほど統一的な基準は無い気がしてきました。どうしても主観的になってしまうので書き手としてできることはネタバレの基準を明らかにして、受け手が判断できるようにするということなんでしょうかね。上に書いたことを踏まえて私なりにまとめたのが以下。
- どんでん返しのある映画のどんでん返し部分は何があってもネタバレ
- ストーリーが重要でない映画の場合、予告編に出てくる映像はネタバレとしない
- 映画途中に重要なネタバレがある場合は、それを「とある事件」と呼んでその後の話でも核心には触れないようにする
- 古い作品でも、映画に興味のない知人は知らないだろう作品のオチや核心はネタバレになるので気をつける
- ネタバレする前にネタバレと書く
というわけで今後映画の感想を書く際はこのネタバレ基準へのリンクを貼っていきたいと思います。過去の投稿も近いうちにやります。