ゲインオーバー

MUGA, I am.

『デトロイト ビカム ヒューマン』をプレイした。最高のゲーム体験だった。

発売から一年以上も経っていて今更なのだけど、『デトロイト ビカム ヒューマン』をプレイした。

発売当初話題になっていて興味は持っていたものの、買うきっかけが特になかったのでプレイせずに居たものの、7月のPS Plusに登場していたことか何かのきっかけで存在を思い出した後に、友人にプレイを勧められたので買ってみたら、どハマリした次第。

そんなわけで久々のブログ更新はゲーム『デトロイト ビカム ヒューマン』の感想である。物語の核心部分に関するネタバレは特にないので未プレイの人も安心して読めるはず。

アンドロイドと人間

まずはゲームをプレイしての全体的な感想。

ゲームは人間がアンドロイドとともに暮らす世界が舞台となっており、近未来SFが好きな私にはとっつきやすかった。

アンドロイドが自我を持ったらという話はブレードランナー2049だったり、ドラマのウエストワールドだったりで描かれているので今更感がないと言えば嘘になるのだけど、今作においてはこれがデトロイトが舞台となっている点が良かった。

南北戦争時に黒人奴隷をカナダへ逃がす拠点だった街、そしてアルジェ・モーテル事件が起きた街がデトロイトであり、そこを舞台に繰り広げられるアンドロイドと人間の物語であることから、奴隷制や差別と言った問題がテーマが設定されることは明白だ。こうしたテーマを背景に自我に目覚めたアンドロイドと人間の対立、あるいは融和の物語を作り上げたのは秀逸だったなと思う。

またこの後にも書いているが、ゲームの選択の積み重ねによりこのテーマが一面的ではなく、多面的、複層的に描かれることになっているのが『デトロイト ビカム ヒューマン』ならではで、ただただ感服した。

快適なゲームプレイ

アドベンチャーゲームを久しくプレイしていなかったので最初は単調だなと思っていたものの、デトロイトでは限られた時間でコマンドを入力しなければならなかったり、そのコマンドが意外と難しいものもあったりして「歯応え」があった。

ぼーっとしていると咄嗟に入力しなければならないコマンドを見逃してしまうので、コマンド入力を意識していると結果的にゲームに集中して物語に没入できるのも良かった。

コマンド入力だけではなく、登場人物の言葉や行動の選択も面白い。選択肢が出てから決めるまでの時間が絶妙にギリギリに設定されていて、緊張感がある。

また物語を進める上でのヒントを探す、R2長押しのエフェクトが心地よくてつい何度もやってしまうなど細かな操作もプラスだった。

周回プレイに関しては同じことの繰り返しになるので、時間短縮があると良かった。ただ、そうすると物語への没入感が減るので一長一短ではあって、本作で没入感を優先したのは正しい選択だと思う。

それから強いて言うならロードが長かったり、長時間プレイしているとカクつくという点はマイナスだったけれど本当に些細なことだし、デトロイトのせいではなく古いPS4のせいである気もする。

映画のようで、とてもゲーム

一回目のプレイでカーラという女性主人公を死なせてしまった。

プレイ中はカーラが生存できるように気を配っていたのに、とある選択を間違えてしまったミスプレイの結果である。

カーラの死までにも様々な選択肢を自分の手で選んできたものの、物語が自分の意に沿う形で順調に進んでいたこともあって、自分が選んでいるという感覚は全く無かった。

しかし、死んでほしくないキャラクターが死んでしまったときに自分がそれを選択したという事実を自覚し、自分が死なせてしまったことがとてもショックだった。

同時に、今までまるで映画のように物語が進行していたけれど、実際はその都度自分で選択をしてきた結果なのだと気がついたときに、これは決まった映像を鑑賞する映画とは正反対で、とてもゲームだなと思った。

前述のとおり、しっかりとしたテーマの下で物語が進んでいくのは映画のようなのだけど、そのための選択を自分で積み上げていくのは映画ではあり得ない楽しみ方なわけで、ゲームだからこそできる体験であり衝撃だった。

遠くない将来、VRなりで没入感をより一層高めた形でこういうゲームができるようになったらと思うと夢が広がる。

周回プレイで探る物語の広がり

一度クリアした後、まず最初に目指したのは全員生存クリア。要するにハッピーエンドだ。カーラを死なせまいという一心でハッピーエンドを目指した。

そして見事全員生存するエンディングへと辿り着いたのだけど、エンディングを見ながらこれでいいのだろうかという疑問が湧き上がる。プレイ自体は楽しかったのだけど、色々な困難はありつつも最終的にみんな幸せな物語がつまらないのだ。

自分の性格の悪さを実感する。みんなが幸せになるより、悲劇の方が好きなのだ。わざと死なせる、不幸な選択を取る方が物語としては面白いのではないか。自我を持ったアンドロイドが結局幸せになれない方が物語としては良いのではないか。そんなことを考えながら色々な物語の可能性を探した。

また、カーラも含めてゲームの主人公は3人居るのだけど、その3人の利害が必ずしも一致しないところがまた憎い。誰かを幸せにしようとすると、残りの誰かが不幸になることもあり、自分がどう選択するかが問われる。

全員生存というクリアが一番穏当なのは間違いないが、どのような物語を作り上げるかに正解はなく、プレイの数だけ生み出される自分だけの物語を楽しむのが本作の魅力だなと感じた。

周回プレイでは章の途中からゲームを始めることもできて、すべて最初からやり直す必要がないので様々な物語を楽しむのは比較的楽だった。一部序盤の選択が後半にも影響してくるところはあるけれど、それも限られているのでそこまで負担ではない。

物語への没入とは異なる、物語を自分で作り上げる楽しみも周回プレイでは感じられて、このゲームはとても深く、とても良く出来てるなと感心した。

ここ数年で最高のゲーム体験だった

普段そんなにゲームをやる人間ではないけれど、だからこそ、そんな私でもハマった『デトロイト ビカム ヒューマン』は誰でも楽しめるのではないかと思う。

本作の開発元であるクアンティック・ドリームが出した他のゲームも時間を見つけてプレイしてみたい。

【PS4】Detroit: Become Human Value Selection

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