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【ネタバレあらすじ有】スター・ウォーズファン向け映画『ローグ・ワン』

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今回は全編ネタバレにて感想を書いています。ネタバレ無しの感想はコチラから。(あとで書きます)EP4を観てからの方が楽しめます。

タイトルのとおり本作はスター・ウォーズファンに向けて作られた映画で、スター・ウォーズ成分を割り引いてしまうと平凡な作品だというのが私の感想です。

ナンバリングタイトルではないとは言えスター・ウォーズサーガの一翼を担う、スピンオフ作品であることは間違いないので、スター・ウォーズ成分を割り引く必要はないんですけど。

というわけで早速あらすじと感想を。

序盤

主人公のジンは幼い時、父であり帝国軍で武器の開発を行う技師のガレンと母とともに暮らしていた。そこに帝国軍武器開発部門長のクレニックが現れ、人質として奪うためジンを連れ去ろうとする。しかし、これを予期していた父母は、見計らってジンをこっそりと逃がしていた。クレニックはトルーパーに近辺を捜索させようとするが、母がこれに銃を向けて立ち向かう。クレニックは容赦なく母を射殺。その現場を遠くから見ていたジンはシェルターへと隠れる。そのシェルターの蓋を開けたのはソーだった。

それから時は流れ、現在。帝国軍で労働を強いられていたジンが車に乗せられて現場へと向かう中で、ジンは反乱軍の一味に救出される。反乱軍の基地へと連れてこられたジンは、自分が救出されたのではなく、反乱軍が父であるガレンを探すためにジンを捕まえたのだと知る。しかし、ジンは幼い時に両親と別れて以来ガレンのことを知らず、ソーにも長い間会っていないため反乱軍に有益な情報は得られなかった。ジンは反乱軍のカシアン、ドロイドのK-2SOとともに、帝国軍内のレジスタンスを探すためにジェダという星に向かう。

ジェダに到着した一行は、帝国軍とジェダのレジスタンスの戦いに巻き込まれる。盲目の手練シュルーと重武装の兵士ベイズの助けも借り、ジンとカシアンは無事だったが彼らともどもレジスタンスに捕らえられる。レジスタンスのリーダーは、かつてジンを助けたソーだった。ソーは帝国軍内のレジスタンスから情報を手に入れており、それをジンの前で再生した。それはガレンがデス・スターの強さ、そしてデス・スターを設計する時に仕掛けた罠、デス・スターの弱点を明かすものだった。

その情報と父が生きていたことに驚くジンはその場に崩れるが、その刹那デス・スターの試射がジェダの中心部を襲う。ジンたちは中心地から離れたところに居たため辛くもジェダからの脱出に成功するが、その威力を目の当たりにする。ジン、カシアン、K-2SO、シュルー、ベイズ、そして帝国軍のレジスタンスであるバディの6人は帝国軍の支配する星に不時着する。

中盤

その星は帝国軍の武器研究を行っている場所で、基地にはガレンが居た。カシアンは反乱軍の幹部から直接伝えられたミッション、ガレンの暗殺を企てる。しかしガレンがジンの父であること知っているカシアンは引き金を引けずに居た。ジンは単独行動でガレンに近づき声を掛けたその時、反乱軍のXファイターが現れ基地を爆撃する。両軍の戦闘が始まるが、ここは反乱軍が勝利し、ジンたちは帰還した。

反乱軍の基地へ帰還したジンは幹部に対して、ガレンのメッセージの内容を伝えるが、デス・スターに対抗するべきかどうか幹部の意見は分かれる。父の悲願を成し遂げたいジンと、カシアンらは反乱軍の兵士数人を引き連れて、帝国軍のデータ保管場所である惑星スカリフへと単独で出撃する。出撃時にコードネームを聞かれ、バディがとっさに言った一言は「ローグ・ワン」だった。(ローグは「群れから離れた者」や「悪党」、「ならず者」のニュアンス)

スカリフに到着した彼らは帝国軍から鹵獲した機体だったこともあり、反乱軍に基地を破壊された後逃げてきたと嘘をついて、難なくシールドを突破し着陸する。着陸後、基地に乗り込むジン、カシアン、K-2SOと敵を撹乱する他の面々に分かれて作戦を開始する。撹乱組はシュルーやベイズの主導で、基地の各所の爆破に成功するが、トルーパーやAT-ATとの戦いに苦戦を強いられる。

一方、ジンたちは基地の中心部に潜入しデータの保管場所にたどり着くが、どのデータが目的のデータなのか分からずに手間取る。その間に、基地内でもトルーパーの捜索が始まり、K-2SOが敵の攻撃を防ぎつつ、ジンとカシアンがデータを探し続ける。帝国軍の通信を傍受した反乱軍基地はようやくローグ・ワンが勝手にスカリフへ行ったことを知り、これを援護するため全軍が出撃する。

終盤

反乱軍の戦闘機の一部はスカリフ大気圏内への突入に成功するが、帝国軍の強固なシールドを前に残りの大部分は宇宙でデストロイヤーやTIEファイターとの戦いを強いられる。またシールドのせいで、スカリフ内から宇宙への通信ができないため、バディは帝国軍の設備を利用して通信の出力を上げようと試みる。ジンたちは目的のデータであるデス・スターの設計図を手に入れるが、帝国軍のクレニックにバレてしまい追い詰められる。

それぞれの戦いが進む中、仲間たちは次々と死んでいく。シュルーはバディの通信スイッチを入れた後、銃弾に倒れ、それを嘆くベイズも反撃むなしく手榴弾の前に敗れ、バディも通信の増幅に成功して命を落とす。反乱軍のエースたちもTIEファイターに続々と撃墜されていく。そんな中、宇宙では善戦の結果デストロイヤーを破壊して、シールドを無効化できたのだった。デス・スターの設計図を持って通信機の前に到着したジンは、デス・スターの設計図を宇宙に居る反乱軍の母艦に送信する。

その頃、帝国軍の中でクレニックを目の敵にしていたターキンはデス・スターの照準をスカリフに向け、容赦なく発射する。デス・スターの攻撃を受けたスカリフは崩壊していく。取り残されたジンとカシアンは基地から逃れるものの、デス・スターの衝撃からは逃れられず、海岸にて2人で最期を迎える。

ダース・ベイダー率いるデストロイヤーがハイパーワープで宇宙に現れ、反乱軍は撤退もままならない状態となる。デス・スターの設計図を受け取った母艦にダース・ベイダーが乗り込んでくるが間一髪のところで設計図は脱出艇に渡る。脱出艇が無事出航する中、反乱軍の兵士がデス・スターの設計図を渡した人が、レイア姫であった。

良かったところ

良かったところは何よりもまず、戦闘シーン。EP7では戦闘シーンがそんなに多くなかったのですが、本作はライトセーバーによるチャンバラがない代わりに、宇宙戦闘と銃撃戦が長く描写されていて満足できました。スカリフの戦闘シーンに関して言えば、地上戦宇宙戦ともにナンバリングタイトルにも負けない出来だったと思います。EP3の宇宙戦闘も良かったんですけど、やっぱり本作はデストロイヤーとかXファイターといった旧作の機体だったのが個人的にポイント高かったです。

あと、スター・ウォーズ作品にしては珍しく、人が簡単に死ぬところも良かったです。スカリフの戦闘シーンでの仲間の死に方はとても良かった。シュルーは監督が好きだったからか、劇的に死ぬんですけど他の面々はシンプルに死んでくれて、名も無き戦士の死に様らしくて評価したいんですよね。EP4でデス・スターの設計図があの形で手に渡っている上に、その立役者が出てこないので全員死ぬのは予定調和ではあるんですけど。

それから、クライマックスのダース・ベイダーが攻めてくるシーン以降はEP4につなげるためにシーンのカットも真似していて、最後の最後でレイア姫が出て来るのには特にやられました。この最後の5分くらいが一番良かったです。このカタルシスのために2時間あると言っても過言ではありません。

残念だったところ

ジェダの戦闘で、ジンが戦場のど真ん中で泣いている少女を助けてその母親に渡すシーンがあるのですが、あまりの寒さにビックリしました。このシーンが後々効くわけでもないし、ジンが母親を失っている一件がフラッシュバックするわけでもないし、見せ場的に用意しているんですよね。こんな無意味な見せ場要らないよと。

実は本作の監督であるギャレス・エドワーズは2014年版のゴジラの監督でもあるのですが、そこでも感じた不必要なシーンを放り込む違和感がありました。

GODZILLA ゴジラ(字幕版)

GODZILLA ゴジラ(字幕版)

引き続きゴジラとの比較でアレなのですが、ジンとカシアンの2人の最期が微妙かつ、ゴジラの冒頭の夫婦の別れに近い辛気臭さがあるんですよね。先ほど無名の戦士が死ぬシーンは良かったと書きましたが、この2人はダメでした。デス・スターの衝撃が来てるんだから、そんなキラキラした海を前にして死なないでよと。しかも、そんなに恋愛感情抱くところなかったでしょと。この辺はEP7のフィンを見習って欲しいです。

それと、英語で見たからというのも多少あるんですけど、スター・ウォーズ作品はもうちょっと笑うシーンがあると思うんですが、本作はそんなに可笑しいシーンがありませんでした。K-2SOは面白いんだけど、C-3POみたいにドジするシーンがほとんどなくてスター・ウォーズっぽい笑いがなかった印象です。

スター・ウォーズ作品としては満足だけど

スター・ウォーズが好きなので、上に挙げたとおり戦闘シーンとEP4へ続くシーンが良かった点だけでも大満足です。しかしながら、この作品はスター・ウォーズを割り引いたら平凡だなというのが冒頭に書いたとおりの感想です。

完成度は高いと思うのですが気になる点もあって、スター・ウォーズが嫌い、興味がないっていう人以外は楽しめるはずという曖昧な評価に留めておきたいと思います。

ただ、他に観る作品がないなら『ローグ・ワン』、おすすめです。