ゲインオーバー

MUGA, I am.

台北のサウナは予想以上にレベルが高く、控えめに言って最高だった

先日、台北に行ってきた。6月中旬でも最高気温は37℃に達する酷暑。外を歩けば汗はダラダラ、のどはカラカラで、観光するにはペットボトルの水が手放せない気候だった。1日着たシャツはところどころ白くなり、塩をふいてしまった。夏の台北を歩くのはこんなにも辛いのかと思いながら、額を流れる汗をぬぐっているとある気持ちが芽生える。

「ああ、風呂に入りたい」

ホテルまで戻ればいいのだけど、今回宿泊したホテルにはシャワーしか設置されておらずバスタブがない。シャワーでも汗は流せるから満足はできるが、その時はホテルから離れた場所に居たので一度戻るのも面倒になっていた。それでも風呂に入りたいという思いは消えず、検索してみたら意外にも台北の街中に大浴場とサウナがあるのだ。

サウナブームの波に飲み込まれ、人並みにはサウナを巡っているので台北にもサウナがあると分かった以上行かなければならないという、無駄に強い気持ちがどこからともなく湧いてきた。その気持ちにただ従って今回の旅行で3つのサウナに挑戦してきたのでそのレビューを書いていく。

あらかじめ断っておくと、今回のレビューは純粋にサウナ、浴場に関するものでそれ以上の情報はない。今回行ったサウナすべてで休憩室で声を掛けられたけど、その先のことは分からないので気になる人は各自で検索を。

ちなみにサウナは繁体字では「三溫暖」と書くようで、なかなか良い訳だと思う。

金年華三温暖(金年華サウナ)

atgoldentime.tian.yam.com

MRT中山駅から台北屈指の高級ホテルであるニューオオクラ方面へ向かい、飲み屋街を歩いて行ったところに金年華三溫暖がある。林森北路と呼ばれるエリアだそうで、日本人駐在員の夜を賑やかにするお店が多いとかなんとか。夜に歩いたら、ここでは書けないようなことを言ってくる客引きにすごい勢いで声を掛けられた。

そんな、大雑把に言うなら繁華街であるこのエリアに構えているサウナが金年華だった。

ビルには大きなネオンサインが取り付けられ、猥雑な雑居ビルの1階が入り口になっていた。雰囲気はGoogle Mapsの写真を見て確認して欲しい。

昼間に行ったにもかかわらず淫靡な雰囲気が漂う入り口を入って地下に降りていくとそこにカウンターがあった。カウンターには女性が立っていて、近づいていくとすぐに番号が付いた鍵を渡してくれた。日本のサウナとシステムは変わらないようである。料金は後払いのようで、鍵を受け取ると奥から男の店員が近寄ってきて靴を脱ぐように指示される。指示のままに靴を脱ぐと、その靴は放っておいて構わないとジェスチャーで示された。番号に紐づけて靴を管理しているようだ。

靴係の店員に促され奥へ進むと、そこはロッカーエリアだった。今度はロッカーエリアの店員、ロッカー係の誘導に従って自分の鍵の番号が書かれたロッカーまで案内される。ロッカーには鍵が2つ付いていて、一つはカウンターでもらった鍵、もう一つはロッカー係が持っている鍵によって施錠される仕組みだった。どうしてこういう二重のセキュリティになっているのか皆目見当もつかないけれど、言葉も通じないので気にしないことにした。

日本のサウナではロッカーにタオルや館内着が入っているが、このロッカーには何も入っていない。すべて脱いだらロッカー係が近づいてきてロッカーに鍵をかけてくれる。生まれたままの姿で浴場へと足を運ぶと、そこにタオル、歯ブラシ、髭剃りといった浴場の基本セットが置いてあるので好きに取る仕組みとなっていた。日本でも見かけるスタイルである。

入った瞬間に分かるのだけど、とにかく浴場が広い。全体的に余裕をもった作りで、洗い場も湯舟もサウナもすべてが大きく広いのだ。残念ながら日本ではこの広さの浴場にお目にかかったことがない。綺麗であるとはお世辞ながら思えず古さも感じられたが、決して掃除されていないわけではないので不快には思わなかった。

温度計の類が設置されていなかったので感覚になるものの、100℃近いドライサウナはテレビ付きで十分広かった。室内で使えるタオルは入り口前に置いてある。小ぶりながらスチームサウナもあって両方楽しめた。水風呂は入った瞬間からつま先にしびれが来る温度で、おそらく10℃は下回っていると思う。この水風呂の他に28℃と書いてある、ぬるめの水風呂もある。こちらはかなり広い上に天井から水が流れ落ちるようになっていて打たせ水を楽しむこともできた。外気浴のスペースはないものの、浴場自体が広いのでその辺で座っていても誰の迷惑にもならない。お湯風呂は少し暑めだったが、こちらも広々していて快適だった。さらに薬湯もある。

手入れが行き届いているわけではないのだけど、ドライサウナと極寒水風呂だけでも控えめに言って最高に整うレベルで、もしこの店が都内にあったらきっと超人気店になると思う。

この金年華のレベルがかなり高かったので台北のサウナの印象がとても良いものになった。これに味を占めて以下の2つのサウナにも足を運んだ。

天龍三温暖(天龍サウナ)

www.tianlong.tw

最寄り駅がMRT中山駅なのか台北駅なのか分からないけど、たぶんどちらからも徒歩10分くらいだと思う。寧夏路夜市の南端から近い場所にある。ここもビルにネオンサインで店名が大きく書かれているのが印象的。夜に見たらド派手だった。天龍はビルの9階が入り口となっている。

内部の写真がGoogle Mapsに上がっていてストリートビューで確認できて何とも有難い。

ここも仕組みは金年華と同じで、カウンターで鍵をもらいロッカー係にロッカーの鍵を閉めてもらった後に浴場へ行くという流れになる。

入ってみるとここはそんなに広くない。とは言ってもアスティルよりは広そうだし、都内にあるサウナよりは余裕があるつくりとなっている。今思うと金年華が広すぎたのだ。

ここは風呂やサウナに温度計がついていた。ドライサウナは二部屋に分かれていて、100℃と110℃が温度計には表示されていた。110℃側の部屋は本当に灼熱で5分も入っていられなかった。100℃の方は暑いものの、まあ耐えられるレベルでよい汗をかける。水風呂は7℃。台北では10℃を切る水風呂が普通なのだろうか。長くは入れないが少し入るだけでも全身引き締まり、神経が刺激されて整う。

ここも外気浴ができるようなスペースはないが、少し広めのぬるい水風呂も完備されていて入っていると外気浴とはまた違う整い方ができる。このほか薬湯、ジェットバス、強力な打たせ水が揃っていて色々と体験できた。

お風呂の出口にはタオルや館内着が置いてあるので、湯上りは体を拭いた後に館内着に着替えて休憩室へと行く。浴場の入り口と出口が分かれているので、日本のサウナと違ってロッカー→浴場→休憩室が一方通行の動線になっている。ただし休憩室からロッカーには戻れるのでスマホや荷物を取りに行くことは可能だった。

休憩室はソファがたくさん置いてありフリードリンクもある食事処、一つ下の階にあるリクライニングチェアゾーン、今回は立ち寄らなかったけどベッドゾーンと分かれていた。それからマッサージエリアもあってマッサージを受けているお客さんも見受けられた。今回はホテルを取っていたので宿泊はしなかったけど泊まるのも快適そうだ。

亞太三温暖(亜太サウナ)

亞太健身休閒廣場 ※音が出るので注意

MRT南京復興駅あるいは台北小巨蛋駅から徒歩5分ほど。微風というファッションビルの15階に入っている。ビルはごく普通のファッションビルなので、本当にここでいいのかと不安になる。でもビルの外には大きな看板で亜太サウナ15Fと書いてあるからあるはずだと信じてエレベーターに乗り込む。

15階でエレベーターを降りるとそこにはいきなりローマ調(?)の噴水がある。1階ではおしゃれな女の子が洋服を買っているのに、15階に着くと謎の噴水が待ち構えているのだ。意味が分からない。しかしこの亞太、浴場の内装もローマテイストになっており、エレベーターホールにある噴水は序の口に過ぎない。

ここも受付からロッカーまでは同様のシステムとなっている。浴場に入って驚くのが広さ。金年華も広々としていたのだけど、ここは天井も高くて更に広い。下の写真がぬるい水風呂なのだけど、馬鹿みたいに大きくて25mプールくらいある。

http://www.asia.net.tw/webroot/file/yatal/li02-2.jpg

亞太健身休閒廣場

洗い場は特筆する点はないが、隣との距離も空いていてゆとりがあった。ドライサウナはあまり整わなかったけどスチームサウナがとてもよかった。かなり高温かつ湿度も高くて室内がいい具合に蒸気であふれる。視界が蒸気で遮られ幻想的とも言える時間が過ごせた。水風呂は相変わらずの体感10℃以下と上のプールみたいなぬるい水風呂の2つ。ぬるい水風呂では泳いでいる人も居た。

そういえばどのサウナでも浴場の中にトイレが設置されていた。トイレはきちんとエリア分けされていたので匂うこともなく汚い印象も抱かなかったけど、浴場を出ることなくそのままトイレに行けるというのは新鮮だった。

台北サウナ、どこもレベルが高い

というわけで、今回の台北旅行では3件のサウナに行くことができた。調べるとこの3つ以外に、喜都三温暖というのもあるらしい。今回の旅行では足を運べなかったのでもしまた台北に行くことがあれば是非訪問してみたい。

台北サウナの特徴

  • 水風呂は10℃以下の極寒水風呂と30℃以下のぬるい水風呂の2種類がある
  • 休憩室・仮眠室も完備されていて、食事を摂ることもできる
  • 入浴料は600NTD(2018年6月現在のレートで約2,400円)と台湾の物価を考えると安くはない

日本のサウナとの違い

  • ロッカーは自分の鍵とロッカー係の鍵で二重に施錠
  • ロッカー→浴場→休憩室という一方通行の動線になっている(浴場を通らなくても戻れるけど)
  • 大きなぬるい水風呂がある(所によっては泳げる)

それから一つ気になったのはどのサウナも反社的なお客さんが多く見受けられたことだ。人を見た目で判断してはいけないのだけど、明らかにそういう風貌の人、入れ墨だらけの人、片端の人など台北の街中では見ない人が居た。さらに、とあるサウナに行ったときはお店を出るときに警官が店の前に20人ほど待機していた。これから乗り込むところだったのか何なのか分からないけど、出回っている情報を統合するといわゆるガサ入れなのだろう。店員も日本人慣れしているし、お風呂に入っていて怖い思いは全くしなかったけれど気になった点ではある。

しかしサウナとしてはどこも素晴らしく満足できた。スチームサウナが素晴らしくお風呂も大きかった亞太、ドライサウナと極寒水風呂が最高の金年華、コンパクトにまとまっていた天龍という順番でおすすめ。特に亞太の広さと豪華さは感動があった。

次回台北に行く際はサウナ宿泊をしてみたい。