ゲインオーバー

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英国初の五輪スキージャンプ選手を描いた「Eddie the Eagle(邦題:エディー・ジ・イーグル)」


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「Eddie the Eagle(邦題:エディー・ジ・イーグル)」を観てきました。主人公エディーを演じるのは「キングスマン」出演のタロン・エガートンです。今回もいい演技してます。

この映画は実在のオリンピック選手の話なので、Eddie "The Eagle” Edwardsやマイケル・エドワーズで検索するとWikipediaが出てきてネタバレになります。気をつけてください。と言っても、ストーリーは分かりきっているのでWikipediaを読んでも楽しめると思います。

というわけで少しネタバレを含みますが感想を。

夢のために努力する主人公

観ながら、目標に向かって努力する主人公をコメディタッチで描いている点が共通している「ワン チャンス」を思い出しました。

「ワンチャンス」は「ブリテンズ・ゴット・タレント」というテレビ番組に出てオペラ歌手になるポール・ポッツの話ですが、スキージャンプと歌という差こそあれ、挫折を経験しながら夢を追い続けていく姿勢が重なりますし構成がかなり似てる気がします。

でも、もちろん違いもあります。最大の違いにして、今回「Eddie the Eagle」が面白いと思ったのが、ポール・ポッツには歌の才能があったけれど、エディーには全く才能がない点。ポール・ポッツはそもそも歌がうまいんですけど、エディーは運動ができない。それどころか幼少期は脚が不自由で走ることもできません。でも、そこからの努力と目標への向かい方が素晴らしい。

脚がしばらくして治り、エディーは元々オリンピアンになりたいという夢を持っていたので、運動に精を出します。最初は陸上選手を目指して奮闘するものの結局才能は開花せず、父親にいい加減に諦めろと言われる始末です。そんな折に偶然スキー場に行ったエディーは夏季オリンピックがダメなら冬季オリンピックがある!とスキー選手へ転向します。

スキー選手としては成績を残し、オリンピック代表候補に選ばれます。しかし、代表候補内での成績は低くクロスカントリーやスピードスキーの類ではオリンピックに出場できないと判明。エディーも流石にスキー選手を辞めようとしたところで気が付きます。スキーにもいくつか競技があって、ライバルの居ないスキージャンプなら出られるじゃないか!と。スキージャンプ未経験ながら、思い立ったら止まらずドイツのスキー練習場へと旅立つのでした。

人生の教訓が詰まってるエディーの生き様

エディーに訪れる転機は偶然といえば偶然ですが、オリンピアンになるという夢を叶えるために、ピンチの捉え方を変えて他の方法を見つけて、不断の努力ができるのは素晴らしいなと思えました。環境や人のせいにせず、自分の見方を変えることで乗り切っていくのって簡単にできることじゃありません。

オリンピアンになる=夏季オリンピックに出る陸上選手になる発想から、そもそもオリンピアンになるなら冬季五輪でも叶うと気がつくのって、それなんてメタ思考だよと。エディーなら、今の仕事がつまらないから転職するって言う人に、会社じゃなくて仕事変えれば済むかもしれないからまず社内異動したら?って助言できるかもしれません。

また、競合がたくさん居るフィールドで戦うのではなく、ニッチでマイナーで競争相手が少ないところで戦えば勝率が上がるというのも、まるで人生に通じるような教訓があります。セカンドペンギンだらけの場所に行かず、ファーストペンギンになるのも合理性があるのかもしれません。

さらに、幸せや納得感は他人と比較するのではなく、自分のものさしで測ることが大切というテーマも汲み取れる人生訓になってます。オリンピックは参加することに意義があるとはよく言ったものです、本当に。

競技への取り組みやスポーツマンシップもテーマになっていますが、こうした生き方について考察を深めつつコメディでにこやかな気分になれる映画でした。日本での公開は11月と遠く、その頃にはリオオリンピックの余韻も残ってなさそうですが。。。