ゲインオーバー

MUGA, I am.

素直になるのって難しいですね。「心が叫びたがってるんだ。」を観ました。


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Japan Foundationが主催している「Japan Foundation Touring Film」という、日本映画の上映イベントに行って観てきました、「心が叫びたがってるんだ。」小さいシアターでしたが会場は満席で、日本人もそれなりにいましたが、そうでない方も多く入っていたように思います。一体彼らはどこから情報を仕入れているんだろうか。

言葉のちから

主要キャラクターが、何かしら言葉やコミュニケーションに悩みや問題(という程顕在化していない人も居ますが)を抱えていて、それぞれが自分の心、素直な気持ちを不器用ながら伝えていく姿は胸を打つものがあります。高校で行われる「地域ふれあい交流会」の実行委員になった4人、トラウマで言葉を話せないながらも努力する順、優しい性格の持ち主だけれどもなかなか本音を言わない拓実、好きな人への気持ちを伝えられないでいる仁藤、野球部の仲間との関係がうまくいかない田崎のそれぞれが成長していくのを見ていると、小っ恥ずかしさがありながらも清々しい気分になります。

言葉やコミュニケーションの悩みというのは、ありとあらゆる人が持つ悩みでもあるから刺さったのだと思います。ちょっとしたことを言えなかったり、嘘をついてしまったり、感謝を伝えられなかったり。年をとると気にするものが一層増えて、ストレートに物事を伝えるのは億劫になりますが、順たちを見習って自分ももっと自分の気持に素直になって、叫びたがってる心の声に耳を傾けないとなあ。言葉って、大切。

アニメも非常に綺麗で、田舎町の描写も観て楽しめますし、キャラクターがいきいき動いていました。オーバーリアクションな順の可愛さも際立っています。あと声優さんみんな上手いですね、ほんと。それから、ミュージカルをテーマにしていることもあり音楽や歌も印象的です。クラシックな曲にオリジナル歌詞を付けるというのもいいもんです。最後のユニゾンも感動的。

それはそうと、学園モノを観る時に困るのが、共学じゃなくて男子校出身だから、学校生活での男女の恋愛がよく分からない問題。もちろん頭では理解はしているつもりなのですが、残念ながら感覚的に分かったり自分の過去を思い出して共感したりできないんですよね。思春期に男女が同じ教室で過ごすというのは、きっと小学校とも大学とも違うと思うので想像するにも限界がありまして、僕の中では永遠にファンタジーなわけです。

なので、この映画に限らず学園モノで青春を感じるというのが難しく、僕の青春があるとするとそれは甘酸っぱい恋だとかそういうのではなく、同級生と遊んで馬鹿なことをやったことです。そんなわけで、ここさけを青春というフレームで理解するのが僕にはどうしても無理でした。そういう見方ができればもっと楽しめることは間違いないと思うのですが。

でも、だからと言って、ここさけの魅力が減るわけではなく、言葉の大切さ、コミュニケーションの難しさを豪速球ど真ん中でぶつけられて感動しました。清々しさが心地よい映画体験でした。