ゲインオーバー

MUGA, I am.

漫画、『人間仮免中』が圧倒的でしたよ

人間仮免中人間仮免中
卯月 妙子

イースト・プレス

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卯月妙子の『人間仮免中』を読みました。

過去作や卯月妙子自身の今までのことは全然知らなかったのですが、想像を絶していたという壮絶さがある内容でした。

まず画がですね、お世辞にもうまいとは言えないくらいにぐちゃっとしています。線も安定してないし。

一番最後で一つの真実が明かされるのですが、それを読むとこの漫画を書き切ったということにすら驚きまして、画がどうとかはどっかにいてしまいます。

それでも書いたというところにある種の感動すら覚えます。

とある事件が起き、その過程にもビックリなのですが、中盤以降は病院に入院します。

統合失調症だったため、入院中に幻覚症状に悩まされることが描かれるのですが、その内容がまあ支離滅裂ながら本当にこういう体験をしたのだろうと考えると恐ろしくもあり震えます。

こういう言い方をするのは申し訳なくもあるのですが、読んでいて好奇心と恐怖でどんどん読みたくなるという体験は初めてです。

そしてエンディングの温かさ。普通に生活をしていれば生きてるなんて当たり前のことで、その温かさを意識する瞬間はないのですが、普通に生きてるということに対して温かさを感じました。

この読後感をうまく表現できないところではあるのですが、圧倒的です。

Amazonでは品薄になっているのですが、多くの人に読んでもらいたい作品です。