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ゲームを普段とは違う観点から解説、『教養としてのゲーム史』

教養としてのゲーム史 (ちくま新書)教養としてのゲーム史 (ちくま新書)
多根 清史

筑摩書房
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『教養としてのゲーム史』いう本を読みました。

ゲーム好きなのですが、ファミコンあるいはその前の時代のゲームなんかはリアルタイムではありませんし、話に聞いたことがある程度のことも多くて本書を読んで新たに得た知識もありました。

本書の構成

第1章 固定画面の中で

ここでは主にアクションゲームについて取り上げられていて、ハード性能の限界によって規定される空間やグラフィック、今となっては当たり前のCPUによる敵の存在などが俯瞰的に語られている。

第2章 スクロールが生み出す世界

画面がスクロールすることで描かれる空間が拡張されたことが示され、ゲームに広さが生まれゼビウスの強制スクロールからマリオの能動的スクロールまでを解説し、ハードの限界をソフトの発想で乗り越えたこと、ハードとソフトが相互依存的に進化してきた。

第3章 RPGと想像力のデザイン

アクションゲームだったり、シューティングゲームでは画面内の情報が全てで、ものによって世界観はあったけれど、画面外の情報や画面から情報を汲み取って想像するということは少なかった。が、しかしRPGはテキスト情報やコマンド選択などキャラクターを直感的に動かすわけではなく、情報を読んで考えたり命令を出すという今までにない形を取った。

第4章 シミュレーションと欲望

現実ではなく現実では叶えることが難しいアコガレをシミュレートするゲームの対象が、自分に近づき、自分が出来なかったことをゲームで代替するようにもなった側面もある。美少女ゲームが恋愛ゲームとして広く認知される様も書かれている。

感想

教養かどうかは別として、自分が好きなものを普段とは異なる視点で解説してくれるのは、視野が広がってありがたいことです。

ハードによるソフトの制約はグラフィック以外の部分ではあまり気になっていなかったものの、黎明期にはかなりの制約があってそれを克服してきた歴史があるのだなあと思うとプロジェクトX的な興奮を覚えます。

というかゲームのプロジェクトXみたいなドキュメンタリーは面白そうだなあ。

本書では語られていないゲームジャンルがあることは筆者も書いていて、格ゲー・FPS分野が俯瞰的に解説されると個人的にはより一層楽しめたなと。