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自転車に興味がある人も、嫌いな人もとりあえず読むべし!

自転車が街を変える (集英社新書)自転車が街を変える (集英社新書)
秋山 岳志

集英社
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秋山岳志の『自転車が街を変える』を読みました。

自転車愛に溢れる内容で、日本・イギリスの自転車事情が紹介されていて興味深いのでチャリダーの方は是非!

日本の自転車事情はなかなか厳しい

まず、日本の自転車を取り巻く、良くない環境について書かれています。

今までの道路設置にあたって、クルマと歩行者だけが考えられてきて、その中間とも言える自転車は蔑ろにされてきたことを指摘していて、近頃できたような全国の自転車道についても著者は厳しい態度です。

また原則として自転車は車道走行という流れがある中で、自転車の車道走行を阻むものとして、左折専用レーンの存在がまず挙げられています。

自転車に乗っている人なら分かると思いますが、自転車は左側走行の原則があるので、真っ直ぐ進むつもりでも左折専用レーンがある交差点に気づかないまま突入すると左折せざるを得ない状況が生まれてしまうんですね。

僕も経験があって、左折専用レーンがガードレールと分離帯のようなもので仕切られていたので歩道に上がることすらできずそのまま左折を余儀なくされました。ただ、本書によると自転車は自動車と異なる交通ルールに縛られるので、左折専用レーンを走っていても直進できるそうです。

その他に歩道橋や地下道が設置されている、歩行者のことしか想定していない交差点が多くあることも問題として挙げられています。そういや僕も瀬田の交差点でやむを得ず歩道橋を渡ったなあ。。。

また、ママチャリや高齢者の自転車が歩道を走るべきかどうかについても論じられていて、参考になりました。

自転車政策で進むイギリスを参考に

自転車政策が成功した(まだ継続中)イギリスの事情が紹介されていて、読んでるだけでイギリスいいなあと思ってしまうのは、僕が自転車派だからでしょうか。

ただ、これが日本でそのまま活用できるわけではなく、イギリス(ロンドン)と日本(東京)で異なる事情も考える必要があることも説明されています。

自転車を優遇する政策が功を奏した背景に、ロンドンの慢性的な道路渋滞、遅延する公共交通機関(バスや地下鉄)などが元々問題としてあり、そのオルタナティブとして自転車が注目され人々が移ったことを考えると、東京で事故以外の理由で電車やバスが大幅に遅れるってことはなかなかないですし、ロンドンとは異なる事情が多い印象です。

しかし、官公が主導になって音頭を取らないと何も変わらないのが日本の常なので、盲目に真似して自転車政策を推し進めるという姿勢だけでも見せたら日本の事情は変わるんじゃないかと思う部分も大きいです。

それから、ロンドンでは自転車を電車に載せることが出来ることが紹介されているのは読んでいて感心しました。なるほど自転車を電車に載せられたら確かに家から駅まで自転車に乗り、電車に自転車を載せて、降りてからまた自転車ってのはアリだよなあと。

東京近辺の住宅事情って電車のネットワークを前提としている部分があり、勤務地まで自転車通勤可能な範囲に住んでる人って限られるので、電車に自転車を載せられるようになったら助かる人は多いでしょうね。僕もその一人です。

自転車に乗る人、乗りたい人、自転車がウザったい人にオススメ

自転車に乗っているものの、あまり知らなかった日本の自転車事情やイギリスの進んだ自転車事情を知ることができてとてもタメになりました。

自転車嫌いの人も読めば、背景が見えて面白いんじゃないかと思います。

いやあ、日本国内の自転車に関する政策やルールが自転車に良い方向に変わる可能性はあるんでしょうかね。自転車環境が良い方向に行くように見守りたい次第です。