ゲインオーバー

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THE世界大学ランキングで日本が順位を伸ばせないのは何が原因なのか



Times Higher Education(THE)の世界大学ランキング2016-2017版が公開されました。

www.timeshighereducation.com

トップ10の大学は代わり映えしないのですが、オックスフォード大学がカリフォルニア工業大学(カルテック)を抜いて1位になり、シカゴ大学が落ちてカリフォルニア大学バークレー校が返り咲きとなっています。

超上位のトップ校は多少順位が変動しても関係ないと思うのですが(関係者にとっては重要なんでしょうけど)、気になるのは日本や各国の大学順位、推移だということで少し調べてみました。

トップ10まで見れば傾向が読み取れるだろうという予想の下、日本とアジアの各国のトップ10までを対象にしたグラフを作ってみました。

評価方法が変わっている年もあるようなので単純比較はできませんが、あくまで参考ということで。

201位以降は201-250位、401位→500位とレンジで表示されるのでそれぞれ201位、401位と読み替えています。

日本の大学の順位推移

f:id:muga_gain:20160922072116p:plain ほぼ横ばいの傾向ですが、東大が43位→39位、九大が401位→351位に順位を上げた他は、京大が88位→90位、東工大が201位→251位と順位を落としています。

なんとかトップ100に東大と京大の2校がランクインしています。ちなみにトップ200もこの2校。

注目は351位に初登場の豊田工業大でしょうか。Citationsスコアが78.6とかなり高い値を叩いているので、豊田工業大学所属の教授が書いた論文がこの一年で多く言及された結果ランクインとなった可能性が高そうです。2年前の東京首都大と同じメソッドですね。

中国の大学の順位推移

f:id:muga_gain:20160922072123p:plain しばらく横ばい傾向でしたが、この1年で10校中8校が順位を上げました。

北京大が42位→29位、清華大が47位→35位とトップ校の躍進が光ります。また3校が201位から153位、155位、182位と順位を上げています。

トップ100は北京大と清華大2校で、トップ200はこの2つに中国科学技術大、復旦大、東北大(中国)の計5校。

韓国の大学の順位推移

f:id:muga_gain:20160922072118p:plain 2015年版で多くの大学が順位を下げていましたが、今年は多くの大学が盛り返しています。

トップ100はソウル国立大と韓国科学技術院(KAIST)の2校。KAISTは昨年から順位を60位上げる大躍進。

トップ200には浦項工科大と成均館大学もランクイン。

サムスンが運営に携わっている成均館大学が着実に順位を伸ばしているのが面白いところです。

香港の大学の順位推移

f:id:muga_gain:20160922072121p:plain ランクイン数は10校未満ですが、香港大、香港科学技術大の2校は50位以内。トップ100にはもう1校あり計3校、トップ200にさらに2校で計5校です。

6校中4校が順位を上げ、2校は変わらずと全体では上昇傾向が見て取れますし、何より6校中5校が200位以内で上位校だらけと言えます。

日本が大学ランキングで苦戦を強いられる理由は

THEランキングの結果発表に関するTHEのコメントにも書かれていますが、国レベルで見たときには上に書いたようなアジアの躍進が目立ちます。

www.timeshighereducation.com

アジア諸国の躍進の3要因として「急激な人口増に伴う高等教育需要の増加」「大学に対する政府の著しい投資」「個々の大学の改善」が挙げられています。

急激な人口増は主にインドと東南アジアの話かと思いますので、残る2つの「大学に対する政府の著しい投資」「個々の大学の改善」の有無、特に政府の投資が日本と中国、韓国、香港との差となったのではないでしょうか。

世界銀行のWebページで確認できる各国のGDPに占める教育予算の割合を見ると、韓国4.6%、香港3.6%となっています。

上のページでは中国のデータが1999年で止まっていますが Wikipediaによれば4.15%に上るようです。

そして日本3.8%。香港より高い割合ですが、中国と韓国には及びません。1987年には5.7%あったようですがバブル崩壊後急激に低下しています。

ちなみにアメリカ5.2%、イギリス5.8%、カナダ5.3%、ドイツ4.8%となっていてTHEランキングで上位大学を多く有する各国は割合が高い傾向が見られます。

この比率は大学に限らず教育予算をすべて含むものですが、教育予算全体の割合が低ければ大学への投資も当然少ないでしょうし、指標になり得る数値かと思います。

大学、教育への投資が十分に行われなかった結果が今の順位?

大学ランキングは一つの指標に過ぎないというのも分かりますし、そのために対策するのは本末転倒というのもその通りです。評価方法に不明瞭な点もありますし、英語圏の方が有利というのも事実かもしれません。

しかし中国と韓国という非英語圏の国が順位を伸ばしている、評価されている以上は日本にも同様のチャンスがある(あった)はずです。

何故こうした差が生まれたのかを考えると1つの理由として、上にも書いた通り政府の投資が少なかったこと、それによって個々の大学の改善が十分にできなかったことが理由として挙げられると思います。

大学ランキングによって日本が大学、ひいては教育への投資が足りない事実が明らかになりつつあるのかもしれません。