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ゲインオーバー

MUGA, I am. 映画のことや英国のこと、加えてゲームやテクノロジーも。気になることを気侭に記していくブログです。

『Patriots Day / ペイトリオッツ・デイ』ボストンマラソン爆弾テロ事件を追う

感想 映画


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http://www.patriotsdayfilm.com/

マーク・ウォールバーグ主演、ピーター・バーグ監督で、2013年のボストンマラソン爆弾テロ事件を描いた本作品。過去に同じタッグでアフガン戦争を扱った『ローン・サバイバー』という映画もあるようです。私は未見なのですが。

ボストンマラソン爆弾テロ事件について事前に調べずに観たのですが、爆破テロの後に犯人の逃避行がしばらく続き銃撃戦にまで発展していたことは知りませんでした。どのように楽しみたいかにも依りますが、把握してから観たい場合事件の経緯については日本語ウィキペディアにもあって詳しいです。

ja.wikipedia.org

『Patriots Day(ペイトリオッツ・デイ)』というタイトルですが、合衆国万歳という右翼映画ではありません。犯人がイスラム系なのでゼロではありませんが、不必要なイスラム教批判はなかったと思います。取り調べシーンで一部強い言葉遣いがあった程度でしょうか。事件の解決のためにボストン、アメリカ合衆国が団結したという意味でペイトリオッツ、愛国者なんだと思います。

www.youtube.com

というわけで感想とあらすじです。

事件解決に向けた警察の動きに迫る

マーク・ウォールバーグ演じるトミー・サンダース警部に焦点を当てて、事件発生から解決に至るまでの流れが描かれます。事件の経緯を忠実に辿っているようで展開の派手さはありません。しかし、どのようにして事件が解決に向かったかを誇張しすぎることなく扱っているのが魅力的です。

言ってしまうと、トミーが事件を解決するわけではありません。トミーはあくまで現場に居た地元警察官の一人として事件解決のために動きます。でも自分が調査して何か見つけるのではなく、通報を受けて現場に向かったり、パトロールをしたりと警察官の一人として業務を遂行する様が描かれるんです。

ハリウッド映画でテロ事件を扱うとなると、警察官が身を粉にして働いて事件解決に向けてひたすら突き進み、重要な証拠を発見して犯人を追い詰めて無事解決!なんてあらすじになってもおかしくありません。でも本作はそういう警察官ヒーロー映画ではなく、警察組織の一員としてトミーの活躍にフォーカスが当たっています。

スクリーンの中に居るのは、事件発生後に怪我人のケアと救急車の誘導にあたり、犯人の居場所を探してパトカーにひたすら乗り、通報を受けて駆けつけた上で対応特殊チームに引き渡すなどなど数々の業務を行うトミーなんですよね。

事件発生直後から忙しいトミーが時間ができてようやく家に帰れたと思ったら、自分の心配よりも事件の詳細を聞きたがる親戚にイラつくシーンは、トミーもひとりの人間であることを端的に表している良い場面だと思いました。志があるとは言え仕事でやってるわけで、警察官が聖人君子なわけではないよなと妙に納得しました。

その意味ではとても生々しい描き方をしています、『踊る大捜査線』は事件が起きないオフィスでのやり取りがリアルですが、本作は事件がよりリアルになっています。そう思うと『踊る大捜査線』は事件パートも生々しければ素晴らしい作品になっていたのではないかと思います。

犯人、そしてテロの被害者

また一方で、犯人兄弟が逃げる様子も描かれます。最終的に逮捕されたのは弟だけなのでどこまで事実なのかは分かりませんが、事件後の行動として明らかになっている点を順番に描いています。銃撃戦では少しダイハードな描かれ方もしていますが、事実として激しい銃撃戦が行われたようなのでしょうがないかなと納得する部分も。

それからテロに巻き込まれた被害者たちも何名か描かれます。たまたまその場に居合わせただけで不幸にも怪我を負った人々の物語には悲しさしかないのですが、映画の最後で少し気持ちが前向きになるような仕掛けがあります。

劇中でも少し言及がある、シリア内戦にアメリカ合衆国介入の結果亡くなった人数とテロで亡くなった人数はどっちが多いのかという話は重い問題です。答えは圧倒的にシリア内戦が多いのですが、目には目を歯には歯をって話では全くなくテロを肯定する理由にはなりません。この不幸の連鎖は私が生きている間に解決する糸口があるのか。根深いです。

このように、事件を追った警察、逃走する犯人、巻き込まれてしまった被害者のそれぞれの視点から映し出されるのが本作の魅力でしょうか。その時のボストンの街の張り詰めた、重苦しい空気感がスクリーンを通じて伝わってきて、丹念に描いているとの印象を持ちました。

あらすじ(ネタバレ無し)

後ほど追記します。

映画公開に合わせて公開された以下のサイト(英語)では、ボストンマラソン爆弾テロ事件の経緯をたどることができます。

www.timetobestrong.com