ゲインオーバー

MUGA, I am. 映画のことや英国のこと、加えてゲームやテクノロジーも。気になることを気侭に記していくブログです。

佐藤かよが語る、自身の人生の物語、性同一性障害について





先日行われた、人権シンポジウム in 東京 「性の多様性を考える ~性的指向と性同一性障害~」というイベントで佐藤かよさんが行ったトークショーの模様がYouTubeで公開されていました。 1時間を超える長い動画ですが、佐藤かよさんが性同一性障害にまつわる自身の体験や考えを語る、とても有意義かつ貴重な動画だと思います。

佐藤かよさんが出ると聞きつけて実は会場に行っていたのですが、動画で見て改めて良い話だったなと。

今回の講演の公益性を鑑みて、より多くの人に講演内容が伝わればと思い、自分が良かったと思う部分を一部文字起こしする次第ですが、時間のある方は是非動画をフルで御覧ください。

性同一性障害だけではなく一人の他者を理解する重要性を考えさせられました

文字起こしをする前に感想を。

金八先生上戸彩性同一性障害の中学生を演じたり、夕方のニュースの特集で性同一性障害の方が出てきたり、性同一性障害という言葉が一段と世に広まったのは2000年あたりからだと記憶しています。

そんな時期に中学生だった僕はテレビを通して情報を得ていまして、ステレオタイプ的な報道や紹介を通じて性同一性障害について知っている気になってしまっていたのですが、佐藤かよさんの話を聞いてそんなことなかったのだと痛感しました。

性同一性障害という言葉で括られる人の中にも様々な問題や悩みを持った人が居て、その人たちを性同一性障害とカテゴライズして理解しようとするのではなく、あくまで個人に対して別け隔てなく接し、その人の考えや生き方を尊重し理解しようとする姿勢が必要なんだなと。

これは性同一性障害だけでなく、何に関しても他者を理解・尊重しようというのは人権の基本的な考え方ですよね。トークショーの中に人権という言葉は出てきていませんが、人権シンポジウムで人権の基本的な考えに近い趣旨の主張が当事者の立場からさらっと出てくるのは、人権にまつわる問題が確実にそこにあることの証左のような気がします。

個人的には聞いていた時の印象も含めて、佐藤かよさんが人権シンポジウムだから意図的にそうした考えを述べたというよりも、自身が今まで考えてきたことを言葉に紡いだ印象を持っているので一層そう思います。

では早速以下、文字起こしです。見出しや段落はMUGAが勝手に付けたものですのでご容赦を。

違和感を感じたことはなかった幼稚園時代

<冒頭> まずですね、私は、皆さんご存知かとは思いますけど、今はこう、タレント・モデルとしてお仕事させていただいておりますけども、元々生まれた時は男の子としてこの世に生を授かりました。

私自身がですね、良くインタビューなどで聞かれる質問の中に「いつ頃から女の子として生きていきたいと思うようになったんですか?」とか「身体に違和感をいつ頃から感じたんですか?」とか「生きづらいと思ったのはいつ頃からですか?」っていう質問をよく頂くんですけど、ちょっとした、そこには私と多分インタビュアーさんのギャップがありまして、私はですね、生まれてからしばらくずっと違和感というものは逆に、あまり感じたことがありませんでした。

幼稚園の頃に仲いい友だちは女の子ばかりで、もちろん男の子とも仲いいですけど、特別仲いいのは女の子の友達でしたし、好きなアニメはセーラームーンで好きな遊びはお人形遊びだったり、そういう一般的に女の子が遊ぶような遊びを好んでしていましたし、男の子が遊ぶような遊びを、私は、兄がいるんですけど、その兄と一緒に遊んだりもしたことありますが、あまりこう心から楽しいとは思えずに、きっと皆さんが小さい時に感じた、遊んでいて楽しいとか、こんな遊びがしたい、こんなおもちゃで遊びたいっていうごく普通の感覚が、私の場合は女の子の遊びをするということだったので、そこに全くの違和感というものは感じませんでした。

ですが、やはりこう、おなじ幼稚園の同級生の友達のお母さんだったりお父さんだったり先生だったり、そういった大人の目が幼稚園の私ながらにも少しこう気がつくというか、「あれ、ちょっと普通の子を見るような目では私のこと見てないな」っていう感じを私自身も不思議なんですけど、幼稚園ながらに感じていまして、その中には仲良かった幼稚園のお友達が次の日になると、全く口を利いてくれなくなってしまって、私はそれがとても不思議に感じながらも、どっかでその理由が自分の中で気付いていて、きっと私が女の子っぽい子だからその友だちはお父さんやお母さんに「あの子とは遊ばないように」って言われたのかなって思ったり、実際にそういう話を耳にして、なんですかね、居心地があまり良くないというか、自分でももちろん解決したいことですけど、自分の口からそのことを告げるのはどうしても抵抗があって、そのままなんだかぎこちない友達関係を幼稚園の頃にしたこともありました。

性同一性障害という言葉でまとめず、ひとりひとりの本心を理解する

<50:00あたり> なんか、何から話してたらいいのか正直わからないですけど、私の考えているものがいくつかあって、私は早くそういった性同一性障害という言葉がなくなればいいなって私は思っています。同じ境遇で悩んでる方がたくさんいる中で皆が皆同じ人間ではないし、私も含めて皆がそれぞれやりたいことがあって、将来どうしていきたいかは人それぞれなわけであって、それを性同一性障害という一つの言葉でまとめてしまうのは私はどうもちょっと違うんじゃないかなって。

きっとそう思ってる方もたくさんいらっしゃると思いますし、逆に言えば、今そういった理解だとか言葉だとかそういうものが広がっている中で、「そういうことが理解できない」「私にはわからない」「そんなのなんなの?」って言う人が逆に時代遅れだったりとか、「なんでそういうこと言うの?」って言われてしまうことが私は逆に嫌です。

私の場合はですね、先ほど話しましたが中学の先生だったり、周りのお父さんお母さんだったり私のことをちょっとおかしいなこの子っていう目で見る目の人が何人か私の周りにも居ました。でも、私はある意味その人たちのおかげで今があるんじゃないのかなって 私は思ってます。

本気で否定してくれて、本気で、悪口というか、なんて言うんでしょう、きつい言葉を言ってくれて、もちろんその時は「なんで?なんでそういう事言うの?」って思ったときもありましたけど、そういう言葉のお陰で私はがむしゃらにでも女の子として生きていこうと思うようになりましたし、見返す見返さないではなく、なんでしょう、そういう否定があったからこその今の私なんじゃないかなっていうのは今すごく思っていて、だからきっとその偏見だったり差別だったりそういうものを早くなくすって言うよりは、その人それぞれ一人一人がどう生きていきたいかとか、その人がどうなっていきたいのか、っていう本心を聞いて理解することを進めていった方が私はいいんじゃないのかなってすごく思っていて。

もちろん当事者の方、そういう境遇で悩んでいらっしゃる方も、ただこう偏見や差別に苦しんでしまうんではなくて、逆にその偏見だったり差別だったり、そうやって自分に対してきつく言ってくることを逆に利用して自分を強くなってほしいなって私はすごく思っていて。

もちろん学校だったり職場だったり形は様々だと思います、歳だったりその人によって。でも私は、どんな人間でも否定されたり悪口を言われたり、否定的な意見を言われたりする人は誰でも一緒だと思います。それは、この境遇あってかないのかってのは関係ないと思うし、だからこそそういう言葉を自分を次のステップにつなげる言葉に感じて、踏んでいってほしいなって私は思います。きっとそういう偏見だったり差別っていうものが、今あるものが、自分を次の自分に変えるチャンスだと私は思います。

トークショーの結びの言葉

<59:00あたり> 私もなんかすごいこんなにたくさんの人の前で自分の話を一時間もさせていただく機会ってなかなかなかったですし、もう汗だくになりながら何を話していいかも分からないながらに、本当に思い出すとどんどん言葉が出てきちゃって、どう説明をつけていいのかも分からなくて、もう、全然、なんですかね、うまく話せたのかも分からないですけど、それだけ私の今までの24年間色々なことがあって、なんかいろんな思いがあったんですけど、でもそれを今皆さんの前でこうやって話せるってことは、きっと皆さんが私のことを受け入れてくれてるというか、応援してくれていて、見ていてくれているおかげだと私は感じています。本当に今思って言えるのは、もちろん死にたいと思ったこともあるし、もう逃げたいと思ったこともあるけど、でも一度自分を隠して、皆の前に本当のことを自分の口で伝えて本当に良かったなって、今心の底から思います。

何だか長い話になってしまいましたけど、同じ境遇で悩んでいる方だったり、その親御さんだったり、その周りの人だったり、その、そういったことを理解しようと思っている人がもっと本音で語れる社会になっていくために私も頑張っていきたいですし、みなさんも少し、今日の私の話で考え方が広がったり、いろんな見方が出来るようになったら私は今日話してよかったなって本当に思います。ありがとうございました。

ごく普通っていうものを私はこれから先も変えていきたい

以上、文字起こしでした。

「人の思ってる当たり前だったり、ごく普通っていうものを私はこれから先も変えていきたい」

文字起こしはしませんでしたが、自身の将来について語った際に出てきたのが上の言葉です。しっかりしていて強い、素敵な言葉だなあと思います。

これからどういう世界を見せてくれるのか、ますます佐藤かよさんから目が話せません。

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