ゲインオーバー

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「のが」と「の方が」について少し考えてみた。けれど結局良く分からなかった



White wind, yellow moon, blue flowerベッキーとゲス川谷、どっちが好き?」と聞かれたらどう答えますか。ゲス川谷が好きな人は、ベッキーをゲス川谷に読み替えてもらいたいのですが、次の2つのどちらを使うでしょうか。

  1. ベッキーの方が好き
  2. ベッキーのが好き

どうでしょう。僕は1.なのですが、2.と答える人も居ると思います。きちんとした文章で書く時は1.だけど、話し言葉では2.という答えもあるかもしれません。

前から気になっていたのですが、ちょっとしたことをきっかけに再び気になったので少し調べてみました。しかし残念なことに、「のが」の使用者が身近に居ないこともあって分からない点が多く、私個人の憶測や推測で以下お送りいたします。

「方(ほう)」を省略できても、そんなに便利にならない

「のが」を比較の意味で使っていると、極端ですが例えば次の文章のようなケースでむしろ不便を感じます。

「赤いのが良い」

この言葉だけだと「赤いものが良い」のか「(他と比べて)赤いが良い」のかが定まりません。これは「の」に「のもの、のこと」という意味があるためです。

[準体助] 1 (体言に付いて)下の名詞を表現せず、「のもの」「のこと」の意を表す。「この本、君―だろう」「自分―には記名しておく」 の[格助終助間助並助準体助]の意味 - 国語辞書 - goo辞書

もちろん、実際には会話や文章で用いる場合は文脈から判断できると思います。とは言え、「の方が」を使えば比較の意味が明らかになるので、誤解を生まないという点で「の方が」を使った方が良いケースが多いはずです。さらに、TwitterとかLINEだと一文レベルでの投稿になるので、誤解を生む頻度が上がってると思うんですよね。

そもそも、辞書的には比較の意味がある言葉が「方(ほう)」なので、これを取った上でその意味を残すというの大胆な省略です。

ほう〔ハウ〕【方】 3 二つ以上あるもののうちの一つをとりあげてさす語。「黒い―が好きだ」「もっと味を濃くした―がいい」「こちらの―が悪かった」 ほう【方】の意味 - 国語辞書 - goo辞書

ちなみに、辞書を引いても「のが」というフレーズは引っかかりませんし、無論「の」には比較の意味はありません。ですので、比較の「のが」が新しい言葉であり、「の方が」が元にあるのは間違いないでしょう。

「のが」がどのようにして生まれたのかの仮説

では、そもそも「のが」は一体どうやって誕生したのか。自分が使わないから全く分からないものの、以下に理由を推測してみました。

エリジオン(母音省略)が近年進んだ

今回の件をTwitterで呟いた時にリプライで教えてもらったのが母音省略のエリジオン。「の方が」が「のが」になった理由として、Wikipediaに書いてある広義のエリジオンに該当する可能性があります。省略までのプロセスは以下のとおり。

「の方が(nohouga)」→「のほーが(nohooga)」→「のおーが(noooga)」→「のーが(nooga)」→「のが(noga)」

書いてみるとなるほどと腑に落ちる部分もあるのですが、「笑っている」→「笑ってる」で「い」が省略されたのに比べて「方(ほう)」という音を省略するのは、少しやり過ぎではないかと。そもそも、「方(ほう)」って省略しなくて良くないかと。

どこかの方言

1.のエリジオンみたいなことが、もっと昔から起きていて既に方言と化している地域がある。そしてその地域の言葉が何らかの理由で近年広まって市民権を得たという説もあり得るかもしれません。個人的な感覚だと「のが」って少なくとも20年前は使われていなかった、目につかなかったように思うんですけどどうなんでしょう。せいぜいここ10年くらいの間で聞くようになった言葉だと思っています。

誤用が伝染

タイポがそのまま広まった。「の方が」が誤植で「のが」になって、それが広まった。そんなこともあるかもしれません。今の若い子だとネットに書いてあったから使うっていう感覚を持っててもおかしくないですし、こういうのが広まる速度は昔より早そう。

比較の意味を抑える用法

何らかの事情で比較の意味を少し弱めて伝えたい時に、「方(ほう)」を省略して「のが」を使い始めて、それがいつの間にか普通の比較を意味する言葉になったのかもしれません。例えば、お客さんや上司に対してこっちの方が良いと直接的に伝えるのが憚れる時に、生まれた言葉だったりして。

謎は謎のまま

ら抜き言葉と比べると、「のが」と「の方が」について言及しているWebページがあまりなく、まだまだ認知されていないんだと思います。ですので、ほとんど情報が得られませんでした。考える中で少なくとも「のが」は「の方が」から派生しているのという結論には至ったのですが。

日本語の乱れというよりも変化だろうと思いますが、先にも書いたとおり比較の意味が明らかな「の方が」の方が言葉として便利で、言葉に出す時も「方(ほう)」を省略することで発音が楽になるとも思わないんですよね。だから不思議でしょうがない。この件の論文があったら読んでみたいけど、ciniiでは見つけられなかった。。。

参考

「の方が」と「のが」 - sibafutukuri アニメとか音響音楽とか

「~の(方)が」の使い方にモヤモヤします。 : 生活・身近な話題 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

「こっちのが」は東京方言では?- 国語 | 教えて!goo