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「ズートピア/ズートロポリス」、今月観た中でも最高だった


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今月観た映画ではインド映画の「FAN」と並んでよかったです。何で先月から公開されているのに観てなかったんだと軽く後悔しています。ということで、ディズニーが送る「ズートピア」、一部地域では「ズートロポリス」を観てきました。動物たちが可愛いだけではなく、人種や民族の多様性の問題を提起する内容でした。少々ネタバレしつつの感想を。

これは、そのまんま人間社会

ズートピアであれば動物楽園、ズートロポリスであれば動物大都市なわけですが、物語のエンディングに重点を置くなら前者、前提なら後者になるだろうなと思いました。それから、多種多様な人がいる大都市がない地域、例えば日本では人種や民族構成に多様性のある都市をイメージしづらい等の理由もありそう。どちらでもいいとは思いますが、今ロンドンに居る身にはズートロポリスの方がすっと入ってきました。

さてさて内容ですが、物語の大筋はあまり難しくなく分かりやすいです。行方不明者を追っていたら凶暴化する動物たちに遭遇しその二つがリンクしていることが分かり、さらに黒幕の存在が明らかになるという具合です。

ジュディとニックの友情と離反もよく構成されていました。肉食動物と草食動物の違い、現在の職業の違い、ウサギにもキツネにもある他の動物からの差別、どちらもズートロポリス内では小型動物、お互いに多少なり虐げられた過去など、違いも多いけれど似た部分もある2人が共に歩んでいく姿がよかったです。周りの登場人物にそうした差別や他の人に対する変化があまり見られないのは寂しい点でもありますが、それを現実として表現しているのだとすると深さを感じずには居られません。

人間を動物に置き換えただけで、人間社会にある差別や偏見の問題は過度に強調することなく、そのまま動物の世界にも残っているのが上手いなあと感心してしまいました。ナマケモノがゆっくり話すシーンがコメディリリーフとして登場するのですが、冷静に考えるとそのシーンを笑えるのも差別と紙一重なんだよなあ。ナマケモノは動きがゆっくりなのを全員が前提として知っていて、さらに映画の構造からしてコメディシーンであることが明らかなので何も考えずに笑えますが、これが例えば他のゆっくりが連想されない動物だと途端に笑えなくなると思うんですよね。現実世界でも特定の人に対して多くの人が偏見を持っていて、それを笑っているような現象があるのではないかと考えてしまいました。

ディズニーの映画作りは丁寧だなあと感心します。監督は「シュガー・ラッシュ」の監督で、「シュガー・ラッシュ」も主役になれないキャラクターの哀愁が描かれていてよかったですし、メッセージを乗っけてくるのが上手いのかもしれません。日本では23日(土)から公開です。