ゲインオーバー

MUGA, I am.

断トツで今年ベストワン映画、サウダーヂ

ベストワン!

有名人から先輩まで各所から大絶賛のサウダーヂ観てきました!咀嚼しきれていない部分も多いのですが、忘れない内に感想を書き殴っておきます。ネタバレはあんまりしてないつもりです。 ちなみにタイトルは今年観た、仮面ライダーマネーボール麒麟の翼の中では断トツってことですが、去年観ててもベストワンだったかもしれません。

あらすじ

山梨県甲府市。何の変哲もなく、人通りもまばらな中心街はシャッター通りと化していた。不況の土木建築業には、日系ブラジル人やタイ人を始めとする様々な外国人労働者たちがいた。HIPHOPグループ“アーミービレッジ”の猛(田我流)は派遣の土方として働き始める。自己破産した両親はパチンコに逃避、家庭は崩壊。弟は精神を病んでいた。猛の働く建設現場にも、多くの移民たちがいた。そこで、土方一筋に生きて来た精司(鷹野毅)や、タイ帰りの保坂(伊藤仁)と出会う。彼らと共に仕事帰りにタイパブに繰り出す猛。タイ人ホステスのミャオ(ディーチャイ・パウイーナ)に会って楽しそうな精司や、盛り上がる保坂に違和感を覚え、外国人を敵視する。精司は、妻の恵子(工藤千枝)が怪しげな商売に手を出し始めたことで、ますますミャオにのめりこみ、全てを捨てて彼女とタイで暮らす事を夢想しはじめる。しかしミャオはタイの家族を支えるために日本で働き続けなければならない。やがて、追い詰められて廃業する下請け。保坂はこの街に見切りをつけようとする。“saudade”。ポルトガル語で“郷愁、情景、憧れ”。そして、追い求めても叶わぬもの。不況が深刻化し、真っ先に切られる外国人労働者たちは、住み慣れた日本を離れ、遠い故国に帰るしかないのか?彼らはこの国で生きてきた。彼らの故郷はこの国、この街なのだ。無視される叫び。苦難を忘れる束の間の喜びのとき、彼らは集い、歌い踊る。その移民たちの輪の中に、かつての恋人まひる(尾崎愛)の姿を見つける猛。そして出会う日系ブラジル人デニス(デニス・オリヴェイラ・デ・ハマツ)率いるHIPHOPグループ“スモールパーク”。彼らとの共生を信じるまひると、否定することで自分を支えようとする猛。そして日本人と日系ブラジル人二つのHIPHOPグループが競い合うパーティーの夜が始まる……。

退屈にならない編集・テンポ

「え、もう終わるの?」と言うのが終わった直後の感想で、短く感じたわけではないのですが、途中で全く退屈しないまま話に入り込んでしまったので、エンディングで167分、約3時間経ったことに驚きました。移動シーンでは動くこともありますが、基本的にカメラは固定で長回しのカットが多く、ともすれば退屈と感じてしまうかもしれなかったのにもかかわらず、その長回しが長すぎませんでした。それに加えて会話のテンポが日常話している時のようで、画面の中の出来事というよりは本当に眼前でそういう会話が行われているんじゃないかというテンポと温度だったのが長く感じさせなかった理由かもしれません。あるいは、面白すぎてそれどころじゃなかったとかも考えられます。

すぐそこにある閉塞感

この映画で出てくる要素を挙げてみると、不景気、賃金・労働格差、移民、外国人就労者、人種差別、政治、悪徳商法、ドラッグ、ホステス通い、パチンコ通い、精神病、意識高い病などなど枚挙にいとまがないのだけれど、これだけ多くの問題が現代を描いている、ひとつの映画の中で出てくるということは、現実の問題としてこれらの問題が確実にそこに存在しているということです。もちろん切り取り方がうまいから一つの作品として違和感なく観られ、なおかつ観ていて面白く飽きさせないのは言うまでもありません。知識としては知っていた、どこかにあるだろうと考えていた諸問題が、映画という物語に表れることで真実味がより一層増してきました。甲府の現状なんて僕は全く知りませんし自分の周りを見渡してもこの映画に出てくるような人は居ないのにもかかわらず! ありていに言えば、描かれているのは「日本の閉塞感」には違いないのですが、「日本の閉塞感」という言葉だとどこか概念的でリアリティに欠けてしまってこのサウダーヂで描かれている閉塞感・不条理とは乖離してしまいます。眼前の問題として身近にある、生活の中で感じられるような閉塞感・不条理を映画体験として強く感じました。シャッターが下りている商店街やだだっ広い工事予定地だけではなくて、登場人物たちの生活を切り取っているだけの場面、精司の家やミャオの家なんかでも寂しげな印象が広がっています。 猛の最後の行動は賛否が分かれるところなのかもしれませんが、思い出せば出すほどそうしてもおかしくない空気や流れがあって泣けるなあと思うんです。ネタバレ避けてるので曖昧ですいません。

黄金町で観たわけですが

帰り道につながってた『サウダーヂ』 - ○内○外日記ブログ こちらでも書いてある通り、イセザキモールが結構いい具合にサウダーヂとつながるんですよね。僕も帰りにイセザキモール周辺を歩いてきたのですが、金曜の夜にもかかわらず人通りは少なく、キャッチのお兄さんがちらほら立って暇そうにしてました。お店を見れば(飯屋以外は夜なのもあって)シャッターが下りていて、いかがわしいお店ゾーンも妙に閑散としていたり、これがサウダーヂってことなのか!と内心わくわくしていました。 僕は生まれも育ちも横浜ではっきり言って地方都市のことは全くわかりませんが、地方都市から出てきた人ならばさらにサウダーヂを感じられるのではないでしょうか。

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