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がんばれfacebook君

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今に到るまでのフェイスブックの歴史が詳しく描かれています。映画の『ソーシャル・ネットワーク』を観た後に読んだのですが、あれは映画であって実際に起こっていることは全然異なるのだと改めて分かりました。実際のマークはエリカを見返すためには何もしてないっていう。エリカのモデルになった人は居たみたいですけどね。映画は映画で会話のやり取りや確執の描き方などとても良く出来ています。 この本でfacebookマーク・ザッカーバーグの歴史とともに多く語られているのがfacebookのビジョン、すなわちその透明性と公共性をもって単なるSNSではなくインフラになるということ。本の中では納税などの政府の一部機能を担う可能性についても書かれています。しかしながらfacebookがインフラにはなれない理由は3つあると思います。

  • 実名で登録する(せざるを得ない)仕組みがない
  • リテラシー面での敷居が高い
  • facebookは一企業である

実名で登録する(せざるを得ない)仕組みがない

facebookと言えば実名で、本書でも実名主義であることの魅力について書かれています。しかし利用規約では禁止されていますが、偽名やアニメキャラも有名人もごまんと居ます。 Facebookに関して疑うべき3つのこと :村上福之の「ネットとケータイと俺様」:ITmedia オルタナティブ・ブログ その上、例えばYamada Taroという名前で登録していても、自分から友人に申請する際に〇〇だと本名を名乗れば済んでしまうので、限られた交友範囲で使う場合不便があまりないのです。 また、本人かどうかを確かめる仕組みも今のところはありません。他人に勝手に自分の名前でアカウントを作られる可能性だってあるわけです。アーキテクチャ的に実名登録を強いることも可能だとは思うのですが、今はまだユーザーの善意が期待されています。 ひょっとしたらこれはfacebookがfriendsterにはなるまいと思っていたからという理由もあるかもしれません。主にfriendsterの悲劇はサーバートラブルですが徹底的な実名主義と偽名の排除も問題になっていたようなので。

また「フェイクスター」とあだ名を付けられた一部ユーザーとの泥沼の戦いがブランド・イメージを傷つけていた。フェイクスターというのは、故意にペットの動物や漫画のキャラクターなどを利用した偽名で登録してくるユーザーを意味した。エイブラムズはフレンドスターのユーザーは実名を使わなければならないと断固として主張し、こうしたフェイクスターの多くを追放した。

リテラシー面での敷居が高い

説明は充実しているのですが、日本のSNSなどと比べると初心者に親切ではない印象を受けます。僕の周りではfacebookに登録はしたもののという人が多いみたいです。 いいね!したページのファンに勝手になったり、プロフィールから入力するファンページもそれとは別にあって何が何だか。ちなみに僕はいいね!機能やファンページ何かの仕組みが未だにきちんと理解できていません。またプライバシー設定も予期せず外部に情報を公開してしまう可能性が未だにあります。 アメリカ以外の地域でどのようなユーザーが使っているのかを予想するに、まだまだある程度リテラシーのある層だけなのではないかと思います。日本でもちょっと前まではfacebookに興味を示していたのはweb関係者や大学生が多かったように感じます。エジプトの革命にfacebookが一助を担ったことが話題になりましたが、それによってインテリ層のデモ参加が増えたという報道もされていることからもインテリ層の利用が多いことが窺えます。 twitterが極めてシンプルなだけにこういったことがリテラシーの高くないユーザーの足かせになるのは間違いないのではないでしょうか。

facebookは一企業である

facebookが一企業であるということは疑いようがありません。ソーシャルグラフと呼ばれる情報網や詳細な個人情報をfacebookが持つこと、今現在GoogleAmazonも多くの人の個人情報を握っていますが、これは便利であると同時に危険でもあるわけです。今はそうした企業が良い業績を修め、経営者もハッキリしたビジョンの下で情報を扱っていますが今後もそうである保証は誰にもできません。IT企業の買収・合併はいつでもすぐに起こる可能性があります。 未来のことを不安視してもしょうがない面はありますが危険があるということは認識して、情報を企業に預けることが今後も変わらず是とされるのかどうか注意して見守っていく必要があります。

facebookもっと頑張れ

以上のような理由で、facebookがインフラになるのは今はまだ夢でしかなく、まだ足りないでしょう。 これからもっと伸びるために必要なことが僕に分かれば今頃facebookは何の苦労もせず成長しているのですが、少なくともリテラシー面での敷居を下げてくれればと思います。そして他の2つについても解決策を見つけて欲しいですね。 mixiという帝王の居る日本のローカライズがまだまだ不十分であるだけなのか、はたまた他の地域でのローカライズもまだこれからなのか。それは分かりませんが、facebookがより使いやすくなって世界に広まらんことを、その過程で日本のSNSのゲーム課金モデルを打破してくれんことを願っています。

ぼくは、透明性が高まっていくトレンドは不可避だと信じている。もっとも、この側面[われわれが常に監視される社会になる]がどうなるかは、正直なところぼくにはわからない