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人の話を面白く聞くことが大切



阿川佐和子の『聞く力』を読んで。

聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)
阿川 佐和子

文藝春秋
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感想

この本はサブタイトルが「心をひらく35のヒント」となっているのですが、これが本当にそのとおりで、具体的に話を聞くためにはかくあるべしということを書いた本ではなく、あくまで阿川佐和子のお話でそこから汲み取っていくような本だと感じました。文章は阿川佐和子が実際に話している言葉がそのままという感じで読んでいて愉快です。最後の章である「Ⅲ 話しやすい聞き方」では少しテクニックめいたことも紹介されているのでそこから個人的に気になった部分を書いてみます。

相づちの仕方

 知り合いの編集者氏に、いつも決まった相づちを打つ人がいます。 「昨日、実は家の中で転んじゃってね」と言うと、 「ああ、そうですか」 「で、血が止まらなかったのでその晩は鼻に脱脂綿をつめて寝たんですが、今朝、お医者さんに行ったら、幸い、鼻は折れてなかったんで、安心したんですけれどね」 「ああ、そうですか」 「そういう騒ぎがあったもので、申し訳ないんですが、現行、まだ、書けてないんですよ」 「ああ、そうですか」 「締め切り、今週末まで延ばしていただきたいんですが……」 「ああ、そうですか」  なんだか意気消沈してくるのです。起こっているわけではなさそうだし、でも驚いている様子もない。いったい私が締め切りの引き延ばしのお願いをしていることを、どう受け止めてくれたのだろう。私が怪我をしたことに、同情してほしいとは言わないけれど、少しはびっくりしないのかしら。 「それって、癖ですか?」 と聞いたことがあります。すると、 「え、何が?」 「『ああ、そうですか』って、いつも言うでしょ」 「ああ、そうですか?」  彼に悪気がないことは、ニコニコとした顔を見ればすぐにわかるのですが、こういう相づちは、喋る側にとってあまりリズムに乗りやすいとは言えませんね。 (p.154)

自分の場合を思い出してみると、「なるほど」というのがお決まりの相づちになってしまっている節があるのことに気が付きました。元来話を聞くのが得意ではない自覚はあったのですが、こういった相づちが喋る側をうまくリズムに乗せられないものだという風には考えたことがありませんでした。自分がついついいろんなことを話す(話してしまう)相手のことを思い出すとみんな確かに「それで?」「具体的には?」のように会話をどんどん掘り下げていく、あるいは続けていくスタイルだったなあと合点がいきました。 さらに、城山三郎にインタビューをした時に、インタビュアーの自分が逆に城山三郎にたくさん話してしまったというエピソードの後にこのようなことが書かれています。

 鋭い質問を用意することも、相手の言葉の隙を突っ込んでいくことも、どうやら私にはできそうにありません。私にできることがあるとすれば、城山さんほど穏やかな優しい性格にはなれないけれど、本当は知識も教養も豊富なのにそんな気配をおくびにも出さぬ「能ある鷹」の城山さんとは比べものにならないけれど、でもとりあえず、面白そうに相手の話を聞くことぐらいはできるはずだ。いや、それしか私に打つ手はないと思ったのです。(p.32)

そうそう、確かにいろいろなことを話す人は面白そうに、そして興味深く話を聞くんですよね。どうも話を聞くことに苦手意識を持っていたのですが、まず第一ステップとしては面白そうに相手の話を聞くところから始めればいいと思うと少しは気が楽になります。そのためにどうするか、本書の項目に従うなら、相手の気持ちを推し量り、「あれ?」と思ったことは正直に聞き、知ったかぶりはせずに、相手のテンポを大切にする会話を心がけることが大切といったところでしょうか。一朝一夕で身につくものではありませんが、色々な人と話す中で人一倍心がけていきたいところです。

最後に

この本は阿川佐和子がインタビューをする時の、話やそこで感じたことが書かれているのですが常日頃人と会話をするということも分解してしまえばお互い、あるいは各者の間のインタビューなので、聞く力について考えるのは日常の会話でも有効だと感じました。人の話を聞かないで生活なんてできないのだから伸ばしたいですね、この力。 野球にあまり詳しくないという阿川佐和子が実際にイチローにインタビューした時の動画がYouTubeにあがっていました。テレビのインタビューでは編集をすることを考えてあまり相づちを打たないと本書で書いてありましたが、ちょっとオーバーなリアクションも含めて阿川佐和子の真剣に聞く姿勢が表れているなと思います。動いている阿川佐和子はお茶目で可愛いですね。