ゲインオーバー

MUGA, I am.

『情報の呼吸法』を読んで

遅読の僕でも通勤時間とお昼休み少々だけで読み終わってしまうくらいに、早く読めるかつ読みやすい本です。予め言っておくとすると、「情報の呼吸法」とは何ぞやと言う押し付けがましいものではなく、津田さんのお話みたいな本です。あと、水色の装丁がナイスです。以下ちょっと感想メモ。

情報の呼吸法 (アイデアインク)情報の呼吸法 (アイデアインク)
津田 大介

朝日出版社
売り上げランキング : 250

Amazonで詳しく見る by AZlink

まず津田さんのこと

この本の中で繰り返し被災地に行って聞いた話や、実際に感じたこと、さらにはSHARE FUKUSHIMAという企画の話が出てきて、津田大介さんにとって震災でメディアの役割・方向性が見えたことや、情報ハブとなって活動したことは大きな節目・きっかけだったとことがうかがえます。その他にも過去のナップスターやナタリーの話もちらっと出てきてそういう人だったのか、ふむふむという具合で津田さん自身のことが多く書かれています。津田大介さんのことを寡聞にしてよく知らなかったので今取り組もうとしている政治メディアの話などは読みながら感心していました。政局じゃなくて政策にフォーカスするべきという主張はなるほどその通りです。 そして、そうした津田さんの活動の側にはソーシャルキャピタルとも呼べる、Twitterなどで作られた交友関係や繋がりがあったことが紹介され、自分自身も他人の資本である意識を持つ必要があると書いています。その一方でまず個人として情報発信や本を読むなどの自己研鑽、人と実際に会うことなど、自己啓発抜きにして自身を高めることについても触れています。

薄い=読みやすい?

最初にも書きましたがこの本はもの凄くあっさりと読めると思います。早く読める人なら30分とかそのレベルなんじゃないでしょうか。ページ数も165ページと少なく、本自体も薄い部類の新書です。ただ、薄いから読みやすいという訳ではなくて、それ以上にこの本が雑誌的な"かいつまみ"かつ話が反復するので、スルッと入ってきやすいのではないかと感じました。本文で津田さんが自身を「雑誌的人間だった」「連想ゲーム」「楕円的」などのキーワードで記述していることが体現されています。

気に入ったところ

さて今回読んで気に入った、気になったところは162ページの次の部分。

 若い人たちに向けて言いたいのは、「若いうちに会いたい人に会っておけ」ということに尽きます。というのも、今はいろいろな人に自由に「会える」環境になったからです。今までは情報だけではなく「人」への「アクセス権」をマスメディアが握っていて、有名人と一般人を隔離することで優位を保っていました。昔は有名人や知識人に会おうと思った場合、まず連絡手段を考えるところから始める必要がありました。  しかし今やツイッターで直接連絡が取ることが可能になり、タイミング次第では会うこともできる。人間関係資本が豊富な人へのアクセス権が、そうでない人でも持てるようになったというのが、実はメディア革命のいちばん大切なポイントなのです。

「アクセス権」が割と一般に解放されたというのは人に会うことに限定せず、仕事であっても体験・経験であっても今の若い世代に与えられているものだなと思うのです。20年前などと比較して、そういう点ではだいぶ幸運だなと。僕自身も思い返せば、今や某有名サイトで大学生バイトとして少しでも働くことが出来たりしましたしね。ひとえにアクセス権を開いてくれた社員の皆さんのおかげです。 さて、会うということに戻ると、やっぱり会って話すというのは今でも最も有効なコミュニケーションなわけで、自分が会いたい人と会って話す可能性・チャンスが多少なりある環境というのは良いことなんだと思います。しかも若いうちに会ってその後も綿々と続く可能性もあるなんて考えると夢が広がりますよね。胸の高鳴りを抑えつつTwitterの使い方を改めてみようと思います。